世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【世界遺産の必要条件と十分条件】

世界遺産の必要条件〉
10の登録基準(クライテリア)のうち、どれか一つ以上を満たす必要がある。
 
ⅰ)人類の創造的資質や人間の才能を示す遺産。姫路城、モンサンミシェル(フランス)など。
 
ⅱ)建築や技術、記念碑、都市計画、景観設計の発展において、ある期間または世界の文化県内での重要な価値観の相互交流を示す遺産。法隆寺イスタンブル(トルコ)など。

ⅲ)現存する、あるいは消滅した文化的伝統や文明の存在に関する証拠を示す遺産で、人類の化石遺跡なども含まれる。奈良やストーンヘンジ(イギリス)など。
 
ⅳ)人類の歴史上において代表的な段階を示す、建築様式、建築技術または科学技術の総合発展段階、もしくは景観の遺産。厳島神社やブラジリア(ブラジル)など。

ⅴ)独自の伝統的集落や土地・海上利用の顕著な見本、人類と環境との交流を示す遺産。白川郷バンディアガラの断崖(マリ)など。

ⅵ)人類の歴史上の出来事や伝統、宗教、芸術などと強く結びつく遺産。原爆ドーム審議(1996)以後、「他の基準とあわせて用いられることが望ましい」とされた。ゴレ島(セネガル)、ウルル=カタ・ジュタ(オーストラリア)など。

ⅶ)ひときわ優れた自然美や景観美、独特な自然現象を示す遺産。屋久島やフィヨルドノルウェー)など。

ⅷ)地球の歴史の主要段階を示す遺産で、地層や地形だけでなく、恐竜や古代生物の化石遺跡もこの基準が認められている。グランドキャニオン(アメリカ)やワディ・アル・ヒタン(エジプト)など。

ⅸ)動植物の進化や発展の過程、独自の生態系を示す遺産で、現在進行中の生態学、生物学の代表例も含まれる。小笠原諸島ガラパゴス諸島(チリ)など。

ⅹ)絶滅危惧種の生息域であり、生物多様性の保存のために重要な遺産。知床やドナウ・デルタルーマニア)など。
 
 
世界遺産十分条件
○真正性
建造物や景観などにおいて、形状や意匠、素材、用途、機能などがそれぞれの文化的背景の独自性や伝統を継承していること。
○完全性
世界遺産の顕著な普遍的価値を構成するために必要な要素がすべて含まれ、長期的な保護のための法律などの体制も整えられていること。
 
これらを満たしているものが、「世界遺産」に認定されるのである。
それでは、次回からは個別の資産について見ていきたい。
 
【参考図書】
高城千昭「世界遺産20年の旅」

https://www.amazon.co.jp/%E4%B8%96%E7%95%8C%E9%81%BA%E7%94%A3-20%E5%B9%B4%E3%81%AE%E6%97%85-%E9%AB%98%E5%9F%8E-%E5%8D%83%E6%98%AD/dp/4309226914/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1491229994&sr=8-1&keywords=%E4%B8%96%E7%95%8C%E9%81%BA%E7%94%A3%EF%BC%92%EF%BC%90%E5%B9%B4%E3%81%AE%E6%97%85

TBS系列「世界遺産」プロデューサーによる一冊。正直、世界遺産検定で覚えるのに苦労した10のクライテリアも、この本が発売されていればもっと覚えやすかったのに…と思うくらい、実にわかりやすく書いている。

世界遺産への圧倒的知識と愛情あふれる一冊。世界遺産に興味がある方は、必読の一冊だ。

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