今年62冊目読了。福岡大学名誉教授にして、日本比較文学会及び国際比較文学会理事の筆者が、思考と文学、科学のかかわりについて書き記した一冊。
〈お薦め対象〉
自分の問いは3つ。
『人間の思考の特性は何か?』には「多様で雑多な世界を少しでも理解するため、相似形にもとづく分類を用いる。知らずに物語をつくり、さらにその物語が物語として成り立っているかをチェックする。身体を用いて行動しながら世界の事物を認知し、自身の身体の動きを知らずに事物に当てはめる」。
『日本人のユニークさとは?』には「自分たちは周縁であり、外国から学んで成長するという意識の上に成り立つ。生命、自然中心の文化であり、原始性に強く執着する。日本文学は、人間関係より、自然あるいは自然と人間の結びつきのほうに向く」。
『何に留意をして生きるべきか?』には「神話を持つことは自然だが、それについて自己批判能力を失わない努力が必要。日々の生活の中で忘れ去られた記憶をよみがえらせたとき、人は自身の生の意味を確認できる。大切なのは、自己表出ではなく、自己が他者とともに立つことのできる共通の場をつくること」。
文学、思考に興味のある人
〈お薦め度(5段階評価)〉
★★★★☆
〈実用度(5段階評価)〉
★★☆☆☆
『人間の思考の特性は何か?』には「多様で雑多な世界を少しでも理解するため、相似形にもとづく分類を用いる。知らずに物語をつくり、さらにその物語が物語として成り立っているかをチェックする。身体を用いて行動しながら世界の事物を認知し、自身の身体の動きを知らずに事物に当てはめる」。
『日本人のユニークさとは?』には「自分たちは周縁であり、外国から学んで成長するという意識の上に成り立つ。生命、自然中心の文化であり、原始性に強く執着する。日本文学は、人間関係より、自然あるいは自然と人間の結びつきのほうに向く」。
『何に留意をして生きるべきか?』には「神話を持つことは自然だが、それについて自己批判能力を失わない努力が必要。日々の生活の中で忘れ去られた記憶をよみがえらせたとき、人は自身の生の意味を確認できる。大切なのは、自己表出ではなく、自己が他者とともに立つことのできる共通の場をつくること」。
上記だけでなく「人間は事実の世界で満足できない、あるいは事実を受け入れることが苦手」「欲望を持つほど、所有できると信じているものが失われるとつらい」など、なかなか洞察が鋭く、面白い。ただ、自分の興味の分野に適合したから読み進められたという側面は否めず、上記「お薦め対象」以外の人が読んでも、なんだかチンプンカンプン、という読了感になってしまうかも。
興味があれば、一読をお薦めしたい。