世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【読了】ジョーゼフ・キャンベル、ビル・モイヤーズ「神話の力」

今年38冊目読了。神学者と、米国を代表するジャーナリストの2人が、対談しながら神話と人間の持つ力について深めていく一冊。


〈お薦め対象〉
生きることに迷っているすべての人
〈お薦め度(5段階評価)〉
★★★★★
〈実用度(5段階評価)〉
★★★★★


自分の問いは3つ。
『神話の持つ力、メッセージは?』には「人は自己の内面に向かうことができる。我々がどんな時代にあっても、真理、忌み、重要な価値を探し求める物語。生の冷酷な前提条件と知性に折り合いをつける」。
『人生における原則は何か?』には「あくまで自分の人生を生きるなら、この人生は探求の旅によって築かれる。世界に生命をもたらすためのただひとつの道は、自分自身にとっての生命のありかを見つけ、自分が生き生きと生きること。英雄は、暗い情念を克服することによって、理不尽な内なる野蛮性を克服できる」。
『我々はどう生きるべきか?』には「探求の究極的目標は、他者に仕える知恵と力であると知る。心配せず自分の至福を追求せよ、そうしたら思いがけないところで扉が開く、と自分に言い聞かせる。自分の置かれた時代に自分らしく生きることを学ぶ」。


2020年4月という「コロナウィルスの影響で、世の中がとんでもない激変にさらされている」状況においては、非常に読みごたえがある。「人々は、世界とうまく折り合いをつけるため、自分の人生を現実と調和させるために物語を作ったり語ったりする」というのは、まさに今!というタイミングであり、心に響く。


ジョーゼフ・キャンベルの言葉をもとにした映画「ファインディング・ジョー」に深く共感したので読んでみた本だが、なるほどその洞察の深さには感銘を受ける。「自己の責任と自信とに支えられた勇気を持つためには、いったん死んでよみがえることが必要」「欲求や情熱に従って何かするときは、精神をしっかりコントロールして、衝動に駆られて破滅する危険を避ける」「本を読むことで、知性が本と同じ高さまで運ばれ、穏やかな静かに燃える喜びを感じ続ける」など、人生に役に立つ警句が多数。心を穏やかに、自分の内面との対話を深めたくなる。お薦めの一冊だ。