今年61冊目読了。ギリシャ生まれのイギリス育ちにして、大の日本ひいきの著者の不朽の名作。
あらすじはなんとなく知っているものが多いが、改めて読んでみると「へぇ、耳なし芳一って、こんなディテールだったのか」と気付かされたり「え、このストーリーのタイトルは『むじな』なの?全然勘違いしていた」とびっくりしたり「ろくろ首って、自分がイメージしていたものと全然違う!!」と愕然としたり。こういった「あらすじを知っているようで、実は読んだことがない」本を読むのは、なかなか面白い。
そして、何より凄いのが、日本人よりも繊細・精緻に日本の情景を描写している筆致。これを味わうだけで、「あぁ、自分って、日本のことをまだまだ知らなかったんだなぁ」と感じることができる。「自分のことは、見えてない」。それを痛感することができる(あえて『できる』と表現したい)。
短編集なので、とても読みやすい。ネット記事ばかり見ていて、ちょっと読書から離れていたな…という人にもお薦めしたい。