世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【読了】諸富祥彦「あなたのその苦しみには意味がある」

今年13冊目読了。明治大学文学部教授にして、日本トランスパーソナル学会会長の筆者が、人生の捉え方、人生との向き合い方を書き記した一冊。

〈お薦め対象〉
人生に疲れた人、悩んでいる人
〈お薦め度(5段階評価)〉
★★★★★
〈実用度(5段階評価)〉
★★★★★

自分の問いは3つ。
『人生における原則は?』には「人は無意味な苦しみには耐えられないが、自分の苦しみの意味を知ることができたらたいがいの苦労は耐えられる。人は、自らの魂の本質を否定されたり妨げられると、周囲から見れば逸脱や奇行に思える行動をとる。理由もなく嫌悪する場合、その人との関係によって自分でも気づかない無意識層の心が刺激されている」。
『人はなぜ生きるのか?』には「私はこの人生を生きることになっていたのだという確信を持つ。自分の人生に起きたさまざまな出来事に共通する必然性を見つけ、救いがもたらされる。すべての出来事はつながっていて、私たちの人生を暗黙のうちにある方向へ誘い導いている」。
『人生に、どのような心持で臨むべきか?』には「自分を悩ませる出来事とは、そうでもしなければ学ぶことができない貴重な気づきと学びをもたらす人生の教師。自分の愚痴や弱音は、自分で聞いてあげる。死への恐怖の本質の中核は、自己意識そのものの完全消滅への恐怖。日々の一瞬一瞬を心をこめて生きる」。

U理論などで学んでいる価値観と共通の観点から物事を見ているだけに、非常に心に入りやすい。他方、スピリチュアル系という色眼鏡で見てしまうと、なかなか入ってきづらいかもしれない。40過ぎくらいで、人生に悩んでいればちょうどいいのかもしれないが、これだけ内面を観る、ということが重要視されている世の中においては、むしろもっと早くこの観点に気づくべきなのかもしれない。

この本の核心は「人間は傲慢なので、辛いこと、苦しいことでもなければ『もう学ぶことはない』と日々に流されてしまう」という点にあると感じる。いかに、このことを心に刻んで人生に向き合うか。それが、カギのような気がする。