世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【仕事の心理学】仕事をしているつもりのベテラン。

仕事とは、チームプレーであることが多い。お互いに、補い合いながら、助け合いながら進める。それが、効率を上げる。

しかし、自分では「めちゃくちゃ頑張って仕事をやっている!」と思っていても、周りからは「全然やってない!」と見られているベテラン。そんな人、いませんか?

《ポイント》
●「やっている」感覚の乖離
特に、「上司から任された仕事を一生懸命取り組む」というプレーを長年続けてきたベテランにとっては、「やっている」というのは「与えられた」事に対してのもの。そして、年次によって立場があがる。本当は、このタイミングでプレースタイルを変える必要があるのに、その延長線上でしかやれない。なぜなら「教わってないから」。

他方、周囲は、若いうちから人手不足の影響で、マルチタスクを求められる。なので、「工夫しないと仕事なんて終わらないよ」という体感がある。ので、「言われたことをこなすなんて、その前提でしかない」と思っている。

●分かり合えない思い
この双方が「やっている、やっていない」議論を展開しても、前提が違うのに同じ「やっている」という言葉を使っているので、まるで話が噛み合わず、分かり合えない思いだけが残る。そして、双方が「自分が我慢するしかないか…」と被害者意識を抱いてしまう。

《問題の所在》
前提が違う、という「認知のズレ」に気づいていないこと。
この場合、一番やってはいけないのは「話せばわかるさ」と、お互いに腹を割って話をすることを勧めること。お互い様、という認識になればいいが、まぁ間違いなく「おまえが悪い!」という非難合戦になり、分かり合えない断絶を深めるだけに終わる。

このベテラン、自分の積み上げてきた努力をまるっと否定されるのが怖いのだ。よってもって、「ベテランの人生を一定量承認しつつ、それでは時代についていけない」事を、時間をかけて理解させるしかない。ベテランは「強いものが生き残るのではない、賢いものが生き残るのではない。変化するものだけが生き残る」というチャールズ・ダーウィンの言葉を肌感覚で理解していない(しようとしていない)のだから。

そして、それに気付かせるためには、こちらのベテランへの接し方が変わらなければならない。あぁ、天に唾する状態(苦笑)。

自戒の念を込めて。