今年62冊目読了。法政大学教職課程センター教授の筆者が、理科が苦手な人向けに「科学って
おもしろい!」と思ってもらうことを目指した一冊。
疲れが出ている中で、たまにはライトな本も、と思って手にしてみた。そして、これはなるほど「知らなくても生きてはいけるが、知っているとためになる」本だ。
リビングにあふれる科学では「羽根のない扇風機は、見えないところに羽根がある」「リモコンは、点滅の組み合わせで命令を送る。モールス信号の光バージョン」「コンセントは2つの穴のうち長い方がアースされている」「使わない時の回復力はアルカリ電池よりマンガン電池のほうが強い」あたりが、なるほどと思わされた。
掃除、洗濯、料理にあふれる科学では「焦げ付かないフライパンは、フッ素樹脂加工が水をはじくのでフライパンの表面から吸着水がなくなるとともに、食品とフライパンが直接触れることがなくなる」「IHクッキングヒーターは、1秒間に6万回の振動を起こしている」あたりが興味深い。
快適生活にあふれる科学では「消せるボールペンは、インクが温度変化によって無色になる性質を利用し、『見えなく』している」「電子体温計は、数十秒のうちに得られた温度の変化から計算によって求めた予測値」「炭酸ガスを出す入浴剤は、発泡し終わったあとで入るとよい。二酸化炭素が体内に吸収されることで体が酸素不足と勘違いして血流をよくする効果を得るため」は知らなかったな…
健康・安全管理にあふれる科学では「水素水はあくまで清涼飲料水で、その効果・効能をうたうことはできない」が笑えた。
先端技術・乗り物にあふれる科学では「太陽電池は、太陽光が持つ光エネルギーを吸収し、熱になる前に電気的なエネルギーに変換する」「ラジコン型ヘリコプターは、操縦に高い技術が必要。しかし、ドローンは飛行を安定させるための技術をコンピューターに担わせて、操縦者は高度や方向を指示するだけで取扱ができるようになった」「3Dプリンターには、熱溶解で作るものと、粉末焼結で作るものがある」はなるほどと思うとともに驚いた。
世の中、知らないことはまだまだある。ライトながら、興味を持つということを考えるとなかなか良書ではなかろうか。ただ、買うほどのことはないかな…