今年2冊目読了。中身については紹介の余地すらない、シェイクスピア四大悲劇のうちの一つ。
「あらすじはだいたい知っているが、読んでいない」という自分のようないい加減な人間にとっては、実際に読むことの大切さを思い知らされた。とにかく、人の心の移ろいを叙情的に表現する言葉の修辞が巧みで、グイグイと引き込まれる。また、人間の心の葛藤、相克、煩悶も数々の比喩によって生き生きと描き出されている。40過ぎて今更ながら「なるほど、これがシェイクスピアか…」と圧倒された次第。何を言っても、凡人の戯言にしかならないので、コメントのしようがない。
そして、話の中身からしても、当然ハムレットを中心として流れていくわけなのだが、実は途中から「クローディアスは、なぜ兄王を殺すに至ったのか?そこに至る心の葛藤はどうであったのか?」というところが気になった。ハムレットにも、レアティーズにも、オフィーリアにも葛藤と苦悶があり、そこは丁寧に描き出されている。しかし、それを引き起こしたクローディアスはどういう過程を経て現在に至ったのか?単に偽善者として片づけてよいのだろうか?と感じる。
人間、だれしも自分が自分の人生の主人公であり、そこにはそれぞれの意味づけがある。果たして、シェイクスピアが「外伝・クローディアス」を描いたらどのような作品になったのだろうか。
子供のころに読書習慣がなかったのは人生の痛恨だが、逆にある程度の人生経験を重ねてから名作を読む、というのもなかなか意義深い。そう思った。もう少し、ビジネス書ばかりでなく名作も読んでみよう。