世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【読了】トレバー・ノア「生まれたことが犯罪!?」

今年43冊目読了。南アフリカで白人の父と黒人の母の間に生まれ、コメディアンになった筆者が、アパルトヘイトの中での生い立ちを書き記した一冊。
 
〈お薦め対象〉
人生が不条理だと思っているすべての人
〈お薦め度(5段階評価)〉
★★★★★
〈実用度(5段階評価)〉
★★★★☆
 
自分の問いは3つ。
アパルトヘイトから見えた人間の真実は?』には「圧倒的多数の黒人同士をグループに分け、憎しみ合わせることで管理しやすくする。人は肌の色以上に、ことばで相手が何者か判断する。居心地のよさは、支えてくれる代わりに出る杭は打たれるのでリスクがつきまとう」。
『人間関係の原則は何か?』には「自分の世界に溶け込もうとするよそ者は受け入れるが、仲間でありながら知らん顔をするやつは許さない。自分がどんなに大切に思っていても、相手は自分の所有物ではない。人とのつながりを保つのは暴力ではなく愛」。
『人生にどのように向き合うべきか?』には「過去に学べば成長でき、苦しみがあればその苦しみで自分を研ぎ澄ませばいい。自分の意見や思い、決心は尊重されるべき。今いるところから出ないにしても、ここだけが世界じゃないとわかるようになる。丸ごと認めてもらおうと思わず、見せてもいいと思える部分だけ認めてもらえればいい」。
 
とても明るいタッチで記述しているが、その人生はなかなかすさまじいものがある。いかなる環境においても、笑って前向きに生きることの大事さが本のモチーフとなっている。実際に自分がその環境にいたらどう感じるか?と考えると、その前向きさは本当に素晴らしいを超えて凄まじい。
色々な悩みにぶち当たって、考え込むよりも、まず行動する。それでしか自分と世の中は変わっていかないのかもしれない。それをメッセージとして受け止めることができる良書だ。人生を考えるうえで、一読をお薦めしたい。