世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【読了】エレーヌ・フォックス「脳科学は人格を変えられるか?」

今年42冊目読了。オックスフォード大学感情神経科学センター教授の筆者が、脳科学に基づいた生き方のヒントを書き記した一冊。

〈お薦め対象〉
人生をより良く生きたい人
〈お薦め度(5段階評価)〉
★★★★☆
〈実用度(5段階評価)〉
★★★★★

自分の問いは3つ。
『脳にはどういう特徴があるか?』には「状況をどう解釈するかが、どう感じるかに大きく影響する。個々の性格や経験によって色づけされた一貫したストーリーに、取捨選択きた記憶を織り込んでいく。新しい経験で脳を刺激しないと、対処法や信念が固定化し、簡単には変化しなくなる。」。
『恐怖は人にどのように影響するか?』には「潜在的な脅威に注意を集中させる。恐怖を感じさせる物事は、実際に害をもたらさなくても悪い結果と結びつけて考えられがち。恐怖の回路は論理と無関係に働くので、よそ者や新技術への恐怖は生じやすく消去しにくい」。
『どのように生きればよいか?』には「自分の感情にラベルを貼り、単に注意の向かう対象として扱う。創造的かつ粘り強く行動する。本当の意味で幸福に生きるために、ポジティブな感情や笑いを多く経験する、生きるのに積極的に関わる、長期的視野で人生の意義を見つける」。

当然のこと、専門的な話がある程度出てくるので、読みやすさは少し減じたが(←脳科学好きな自分は全く読みにくくなかったが…)、基本的な主張は極めてわかりやすい。「世界とどう向き合うかによって、環境は変化する」「脳は訓練を行えば、脳の各領域を結ぶ経路を強くできる」などのコメントも、心にしみ入る。

脳の可塑性に触れるにつけ「もう歳だから…」が、いかに人生に消極的に関わらんとする言い訳であるかを痛感する。幾つになっても、成長あるのみ。その勇気をくれる良書だ。