世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

山岸俊男「日本の安心はなぜ、消えたのか」

【読了】今年40冊目読了。北大の社会科学実験研究センター長の筆者が、社会心理学から見た現代日本の問題点を書き記した一冊。
 
〈お薦め対象〉
全ての日本人
〈お薦め度(5段階評価)〉
★★★★☆
〈実用度(5段階評価)〉
★★★☆☆
 
自分の問いは3つ。
『日本人の社会的特性は何か?』には「責任が心のあり方に転嫁されてしまう。どうしたらいいか分からないとき、卑下するのが無難なやり方。日本人に集団主義的傾向があると考えながら、自分だけは例外と考えている」。
集団主義の特性は何か?』には「社会そのものが安心を提供することで、いちいち他人を信頼しなくていいようにする。本音を言えば自分が責められるかもしれないと思っている。他人は信じられないと思い、あまり他人を観察しない」。
『信頼主義をもたらすために必要なものは?』には「多少の失敗は気にせず、前向きに他者と協力する努力をする。シビアに相手を観察する。他者のよい評判に目を向け、評判を確立した人と積極的に手を結ぶ」。
 
なんだかとても意外な見方に思えたが、読み進めると説得力があって、面白い。完全にこうかどうかはともかく、「多様なものの見方」を養う観点から、一読をお勧めしたい。