今年58冊目読了。文化人類学者の筆者が、私のふつうは誰かのありえないである、ということを、国ごとの常識を例示してします一冊。
「歌がうまくないと結婚できない」「死んだ人を結婚させる」「まだ死んでいない人の葬儀をする」「幼稚園児も飲酒喫煙可」というような、ホントかよ?的なものから「戦争のかわりに歌合戦」「汁物は手で食べる」「パジャマで街を歩くのがおしゃれ」というクスリと笑えるようなものまで、様々な「世界のあたりまえ」が紹介されている。
もともと、小学生の子供が「読みたい」と言って借りてきた本なので、さらりと読めるし、別に教訓めいたものがあるわけでもない。
…しかし。「自分の常識って、本当に世の中においても常識なのか?」ということを問うきっかけには、もってこいの一冊だ。
「常識とは、その人が18歳まで営んできた生活習慣の積み上げでしかない」という見解もあるくらい、常識というのは極めて根拠が薄く、それなのに個人の行動を縛っている。軽くて面白おかしく読めるが、実はその裏にあるメッセージは深い。そう考えると、一度は読んでおいてもいいかも。単純に、話のネタにもなるし。