世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【世界遺産と、国宝。その学びの違い。】

最近、だんだん国宝に興味が湧いてきて、本を読んでみている。

そこで感じるのは、世界遺産との違い。

どちらも、「未来の世代に宝を繋ぐ」という根底に流れる思想は同じ。しかしながら、学んでみると、その違いに驚く。

●違い1:範囲
世界遺産は、不動産に限られている。が、国宝は動産・不動産どちらも守備範囲。

●違い2:情報量
当然ながら、日本にいる、かつ日本語で理解する(というか、他の言語で理解できない…)ため、情報量が違う。勿論、世界遺産は昨今注目を集めているので、エース級の世界遺産は情報量豊富だが、マニアックな「B級世界遺産(と、勝手に名付けた)」については、ほとんど情報がないのが現実。
しかし、国宝は、日本に伝わるものであるため、当然のこと、どれもこれも情報量豊富。「何故、国宝なのか」「どのような由来があるのか」など、実に興味深い。

●違い3:背景の深さ
これは、性質が違うから、致し方ない気がする。世界遺産は、多様性を謳いつつも、普遍性(人類の宝)という観点もあるので、「幅広く、世界レベルで理解できる普遍的価値」が問われる。
しかし、国宝は、「日本という国と、その伝統の継承に重要」であればよいので、専門特化できる。故に、(世界レベルで見ると)マニアックでも、国としては大事!という判断が働き、国宝指定…ということも、あるのだろう。
結果、国宝指定された深い背景を知らないと、「何でこれ国宝なのさ?」が理解できない、という事態に陥る。まぁ、世界遺産でもそれはあるのだが、さらっと説明を読むと理解できるレベル。国宝は、その深みが違う。

●違い4:求められる関連知識
3とも、関連。世界遺産は、「幅広く、様々な文化文明を知り、それに基づいた登録理由を知る」という感じ、だった。とにかく、広がりが大事。世界の多様性に驚いたのは、世界遺産検定を受けたことの大きな財産である、と感じている。
他方、国宝を学ぶと、その「深淵」に触れざるを得ない。日本人「だから」知ってるよね?という、かなり力業な前提を文化庁からグイグイ押しつけられる。そんなん知らんがな…と思うが、そもそも、歴史や伝統芸能に詳しくないと、まるで理解できない。そんなんばっかり。やれやれ。

世界遺産は「広く浅く掘る」、国宝は「狭く深く掘る」。簡単に言えば、そんなことなのだろう。
よって、世界遺産は、広い知見。国宝は、究める掘削。そんな、感じがする。