世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【日本初の世界文化遺産、法隆寺。】

汗だくで着いた、法隆寺。早速、平山郁夫の書により「日本最初の世界文化遺産 法隆寺」と刻まれた石碑が迎えてくれる。うんうん、これだよ、これ!テンション上がるなぁ!!(→マニア。)


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そして、日本最古の木造建築物、五重塔へ。これは、さすがとしか言いようがない。誇る偉容、美麗な比率で重なる屋根、そして実は耐震性に優れた構造。まさに、これこそ世界に誇る日本の技術である。こういったもの、しっかり次世代に引き継ぐ必要があるよな。
でも、そうなると「先立つもの」が必要なわけで。拝観料1500円(!)は暴利だとも思うが、維持管理に必要な寄進を含める、となると致し方ない気もする。それにしても高いが。逆に、大人2000円、子供はほぼ無料くらいにしてもアリかもしれんな。次の担い手に対して拝観のハードルが高いのはよろしくないからな。


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宝物館も、なかなかの迫力。しかし、いかんせん、宗像大社で凄まじいものを見たせいか、そこまでのインパクトは感じられなかった。ただ、普通の感覚で見れば、国宝と重文がザクザク出てくるので、十分に見応えあるだろうな、とは思うが。人間、やっぱり、近いところの経験に引っ張られるなぁ…

しっかり堪能してから、少し離れた夢殿へ。夢殿とは、佳き名前である。夢か現か幻か。そんな人間の混沌たる意識に対して、一筋の希望を与えてくれる。そして、その夢殿は、八角の姿を今に伝えている。


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残念ながら、救世観音像は拝謁できなかった(もともと秘仏であり、明治時代にフェノロサ岡倉天心が無理矢理開帳させた経緯あり。公開期間は今でも限られている)のは残念。まぁ、亦、次の機会に。

改めて、やはり世界遺産はいいなぁ!と思わせてくれる法隆寺。そりゃ、日本最初の世界文化遺産だから、当然なのかもしれないが、やはり実際に来て佳かった。心から、そう思える遺産だった。

【移動二時間など、問題ではない。】

姫路城で大汗かきつつも、大満足。ここからは「超・メジャーなれど、まだ訪れたことがない」世界遺産を目刺し、奈良県へ。もともとは、姫路駅で穴子の駅弁でも買おうかと思っていたのだが、ここまでの「食貧」の流れを感じると、駅弁は無駄に高くて、そのくせハズすな…と感じ、何なら姫路駅の吉牛でもいいかな?とすら考えたが、さすがにそれは別の意味で負けてると思い、さっさと新快速で大阪駅に出る。12両という山陰の人が見たら「これは鉄道ではない!」と叫びたくなる長大編成でわずか一時間、さすがJR西日本の誇るアーバンネットワーク

大阪は、過去二回住んだことのある思い出の地。もちろん、大阪駅は凄まじい進化を遂げていたが。
ここで、予定を変更し、昼食に。列車本数が多いので、いくらでも切り回せる。うーん、都会ってすげぇなぁ。目指すは、「新幹線車内の匂いテロ二大巨頭」の一翼を担う551の豚まん(もう一翼は、言わずとしれたマクドナルド)。大阪駅の大丸にイートインがあるなら、どうあっても外しはしないだろう。

ということで、待つこと15分(昼飯時なので混んでいた)、豚まんがアツアツで出てきた。うん、旨い。かつ安い(170円)。駅弁買うより、全然いい。正解だったな。
それにしても、旅の食事のトップ3が、1)立ち食いかしわうどん、2)豚まん、3)立ち食いそば、って、これどうよ?!


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腹がくちくなったところで、大和路快速に乗って転進。法隆寺駅を目指す。所要40分なぞ、18きっぱーにはものの数ではない。

法隆寺駅では、なんとも微妙な看板がお出迎え。これは、歓迎されてると言うのか?!残念ながら、センスを疑う、としか言えない。


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さて、駅から法隆寺は意外に遠い。バス10分190円、徒歩20分とのこと。迷わず徒歩0円を選択。中途半端に田舎と都会の間で、歩いていても楽しくない。汗だくになりながら、何とか法隆寺に着いた。やれやれ。


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【姫路城というアトラクション。】

汗をかきかき、徒歩15分。ようやっと、姫路城の大手門へたどり着く。その惣構えの大きさを体感。実は、もう他界した祖父母が姫路に住んでいた関係で、幼少の頃に訪れたことがある。しかしながら、記憶は曖昧だし、何より当時は世界遺産オタクでもなかったので(そもそも、その頃にはまだ日本は世界遺産条約を批准していなかった)、ほぼ「お初」という感覚だ。


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大手門をくぐると、あったあった、世界遺産の銘板。やっぱり、これを見るとテンション上がるよなぁ(→オタク)。今や「国宝・姫路城」というフレーズと並んで、いや、それ以上に「世界文化遺産・姫路城」という響きはインパクトを持っている。


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いよいよ城内へ。チケットで「なるほどなぁ」と思ったのは「入『城』券」となっていること。確かに、そりゃそうだ。

案内人たちが、しきりに「ここから先はトイレがないから、すませてください」「熱中症対策に、水分をお持ちください」「混雑と事故の防止のため、入城制限を行う場合があります」と声を張り上げている。暑いのはわかるが、そんなに混雑するのか…実際、天守閣に向かうと、人、人、また人。これは凄いぞ。しかも、外国人も多いこと!靴を脱ぎ、天守閣内へ。確かに、急峻な階段がボトルネックになって、楼を上がるごとに行列が長くなってくる。コースロープがウネウネしている様子は、あたかも「金で夢を売る」某ねずみ王国のようだ。こんなんだったかなぁ?

みんな汗だくになりながら、ようやっと、地下一層、地上六層の天守閣を登り切る。ここからの眺めは、まさに姫路の街を全て捉えられる「天からの視点」である。これだけの建造物を、平成の大改修でやり替えたというのが凄い。城というハコモノだけでなく、技術も含めて、引き継いでいく。そこに、姫路城の凄さと魅力があるのかもしれない。


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天守閣を出ると、「播州皿屋敷」のお菊の井戸がある。確かに幼い頃の記憶があるのは、これと、挟間(さま。鉄砲を撃てるように土塀に開けた穴)くらいというのが寂しいなぁ。余談だが「あれ?番丁皿屋敷じゃないの?」と思ったが、どうも、播州と両方あるらしい。何となく謎は解けたが、いまいち釈然としない感じも残る。


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今度は西の丸へ。実務的な城としては、こちらのほうが便利だったんだろうな。記載されている歴史を見るにつけ、世界遺産検定で学んだ記憶が甦る。平成の大改修の様子を収めたビデオは、とても興味深い。映像は、本当に説得力がある。この技術の粋を集めて守り抜く姿勢も、世界遺産たらしめているのだなぁ、と感嘆するしかない。


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すっかり堪能して、大満足。しかし、城を出る頃には、なんと天守閣は30分待ち!ますます、某ねずみ王国のようだ。よもやまさか、ナントカ官兵衛さま(cf.NHK大河ドラマ真田丸」)も、堅忍不抜の城郭がレジャー施設のようになるとは、思いもよらなかっただろう。


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【姫路城を目指す。】

相生は、(失礼ながら)何もないところなので、起きて準備したら、そそくさと出掛ける。素泊まりプランなので、飯すら食わず。残念ながら、これといった印象は何もない。それが、正直なところ。二度と来ないだろうな…

目的地は姫路駅。相生駅から30分もかからないので、便利だ。そして、駅が一気に都会になる(笑)。
今日の朝食は、ホームの駅そば。実は、ここ、知る人ぞ知る「旨いそば」なのである。独特なのは、麺。なんと、かんすいを使っており、要するにラーメンが和風つゆに浸かっている、という感じなのである。まぁ、旨けりゃ何でもアリだ。実際、食ってみると意外といける。いかに、普段の料理の組み合わせは思い込みにとらわれているか、がよくわかる。自分でちったぁ料理するようになったからか、この面白みが体感を伴うのは嬉しい。


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それにしても、石見銀山で食った蕎麦屋に学ばせたいくらいだ。立ち食い麺がトップ2ってのも、「食貧」だよなぁ。

駅を出ると、遠くに姫路城が見える。これ、総構の外側に駅を作ったからであり、夏の暑さが厳しい中では辛いけど、致し方なし。さぁ、この旅で三つ目の世界遺産に、いざ向かうぞ。



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【18きっぱー、苦闘の東進。】

大満足の宗像大社を出て、バスで東郷駅へ。そこからは、一気に東進する。まずは小倉駅へ。列車は、なんと9両編成!!すげぇ!!しかも、それなり混んでるし。ひぇー。なんて都会だ!!


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小倉まで出ると、昼食時。何せ、今までメシマズ旅行なので、何とか流れを良くしたい、と立ち食いうどんに。実は、小倉駅の7・8番ホームの「かしわうどん」は、クッキングパパ(九州の料理好きの父親が主人公の料理漫画)で紹介されるほどなのだ。
もちろん、注文はかしわうどん。立ち食いなので、ちゃっちゃと出てきて、乗り継ぎの厳しい18きっぱーに優しい(笑)。
で、うどんを一口。うん?ユルユル。歯ごたえないなぁ。これが名物?またやられたか…と思って、かしわ(鶏肉)を摘まむと…これが旨い!麺のゆるさを補ってあまりある。濃いめの味付けが抜群!どっちか言うと、延び延びうどんより、熱々ご飯にかけて、かしわ丼にしたい。でも、うどんつゆも旨いので、なかなか悩ましい。この旅行で、ようやく「旨い!」と言える食い物に出会えて良かった。それが立ち食いうどん、ってのが問題のような気もするが。
※友人の指摘で「かしわうどんとは、柔らかいもの」とのこと。失礼しました。

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関門トンネル通過用の小倉駅下関駅間のワンポイント列車を挟んで(交直流の問題があるので仕方ないが、運用制限に伴う不便さは否めない)、下関駅岩国駅行きに乗り換え。それなり混んでる。同じ電車に三時間以上ってのは、かったるいなぁ。

でも。瀬戸内海を見ると、スイッチ入る。我が里海!という感覚。やっぱり、親父が過ごしてきて、毎年訪れてた感覚は、大事だな…


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そして、昼の18きっぱーは、楽しい。なんか、景色がクルクル変わるので、思考をいい意味で拡散できる。もっと言うと「遊べる」って感じかな。夜の18きっぱーは、景色という刺激が遮断される(なにぶん、田舎を旅するので、夜景なんぞ楽しめない)ので、読書とかログメモとか「内省」方向にしか動けないので。まぁ、それはそれで深いのだが。

岩国駅で乗り換えて、広島駅へ。JR西日本が投入した新車「Red Wing」。なかなか快適だ。しかし、広島駅から乗り継いだ列車が大混雑。どうも、地元の花火大会の影響のようなのだが、三原駅まで立席を強いられた。


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さらに、三原駅で夕飯の駅弁を買おうと売店に行ったが、18時半で売り切れ…おいおい、そう来るか…どうにもならん(ここで買わないと、21時半まで食いそびれる)ので、これまた昨日同様にセブンイレブンの飯。これが、現代貧乏旅行の現実か…哀しくなる。ホントは、三原駅って、思い出の地(父の実家に帰るとき、いつも高速艇乗り場が三原だったので、毎度、この駅で降りていた。ケチな母親だと弁当で、親父が一緒だと新幹線の食堂車で飯を食えたのも、それぞれいい思い出だ)なのだが、そんな感慨に浸る暇もなかった…

三原駅からの列車も、大混雑。これでコンビニ弁当食ったら顰蹙なので、福山駅でガラガラにすいたタイミングから夕飯。それにしても、山陽筋で駅弁を逃すとは、想定外だった…しゃーねぇけど。まぁ、文句はあれど、国鉄車両を改造してあって、シートモケットは良化しているので、乗り心地が良好なのは申し添えます。じゃないと、不公平。

ふと気付くと、未だにこの貧乏旅行で駅弁なし(ホーム麺類は、駅弁ではない)。こんな18きっぱー、いいのか?明日の最終日は、せめて昼だけは駅弁食おう。うん。
定時運行していた列車が支障したのは、岡山。特急やくもの遅れの接続。まぁ、向こうは優等、こっちは普通なので、致し方なし。


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そして、今日は相生(ローマ字でもひらがなでも4文字)でドボン。どうでもいいけど、今宵の宿は潔い。安さはともかく丁寧だけど、それ以上は一切提供しない。まぁ、お値打ちなので納得だけど、自分の中で存在していたステーションホテルの概念が打ち砕かれた(笑)。

さぁ、明日(移転騒動で飛ばした代休)も、世界遺産を巡るぞ。

【世界遺産・宗像大社に興奮。】

テンション低めで参拝に。それにしても、暑い!今日は32℃。坑道が12℃の石見銀山が懐かしい…神社は、思ったより広大な敷地。でも、言っては何だが「それなりの所にはある」という感想。うーん。


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でも、奥に入っていくと、なかなか森深い。高宮斎場は、静謐で、御神域を体感できて、とても落ち着いた心持ちとなる。


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尤も、世界遺産とはいえ、構成資産の一つでしかない宗像大社辺津宮)だけでその価値を体感するのは難しい。というのも、中心をなすのは「神宿る島・沖ノ島沖津宮)」の独自性であり、確かに宗像大社辺津宮)も繋がりがあるので登録されたが、単独で「顕著な普遍的価値」があるわけではないからだ。
じゃ、沖ノ島行けよ!と言われそうだが、沖ノ島は年に一度しか上陸が許されないのだ(しかも女人禁制)。そこに合わせて行くのは相当大変なので、九州本土の辺津宮に来た次第。


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ところが。「神宝館」に入って、ここの凄さを思い知った。
六世紀から九世紀にかけて、大和朝廷が中国・朝鮮との交流を図る際、宗像氏というこの地域の「海人」豪族の力を借りていた。交流、航海の無事を祈念して、また感謝して、神宿る島・沖ノ島で祭事を行い、数々の供物を神に捧げていた。しかも、遣唐使が廃止になって祭事は行われなくなっても、御神域として立ち入りが制限されたことから、荒らされることなく島は往事の姿を今に残した。そのため、8万点(!)に及ぶ国宝が出土し、「海の正倉院」と呼ばれているとのこと。


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この宝物が「神宝館」で閲覧できるのだが、これが凄かった!一般的な宝物館は「それなりの展示があって、中に目玉の国宝が光っている」感じだが、ここはどれもこれも国宝、国宝、また国宝。国宝の大洪水である。時代を超えて、古代日本の交流と、世界最先端の文化が甦ってくる。どれを見ても、鳥肌もの。圧倒的、という言葉が陳腐に感じられるし、この興奮と迫力を的確に伝えられる語彙が自分にないことが口惜しい。

宝物館を見て、感動と興奮で疲れ果てたのは初めてかもしれない。いやぁ、これは凄かった!これは確かに世界遺産だよ!!来てよかった!!

【新・世界遺産、宗像大社へ向かう】

昨日は、ここ一年で初の2万歩超え。よく歩いた。そして、よく寝た。やっぱり、布団で寝るのは大事だ。


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朝6時に起きるも、北九州は列車本数が多いので、ついのんびり。まぁ、昨日が強行軍だったからなぁ。朝食もとって(温かい食事はホントに有り難い)、いざ出発。

カンダ(苅田)から、西小倉で電車を乗り継ぐ。四両編成から六両編成。マジ都会だ!さすが、上場したJR九州!!
…あ、JR西日本も、はるか前に上場してた(爆)。人間、直近の経験に誘導されるなぁ…


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途中、北九州の人達にとっては大事なレジャー施設(と、聞いた)スペースワールドを通る。お盆で、すごい人出。でも、ここ、今年で閉鎖なんだよな。新日鉄八幡の遊休地に、地域の活性化を目指してバブル期に計画され、市民を楽しませたが、事故などもあって低迷。そして、今年、幕を閉じる。人の心は移ろいやすく、でも作ったレジャー施設はそうもいかず。娯楽、遊びは楽しいが、それに対応するのは実に難しい…なんて、奇特な娯楽(18きっぱー世界遺産)をしながら感じる。


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東郷で下車。駅前、世界遺産登録に盛り上がっている感ゼロ。「祝・世界遺産登録」とかいう幟でもあればいいのに。そして、バスで宗像大社に着くも、自販機のラッピングに「宗像に世界遺産を」とか貼りっぱなしだし。いや、あなた、既に世界遺産だっての。かくて、微妙にテンション上がらないまま、参拝に向かう。


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