神護寺。似絵は、藤原隆信が創始してブームを巻き起こした。等身大の絹に描いた着色画。本作は、三幅を奉納した際の「足利直義願文」から、足利直義とする新説があるが、当否は不明。位の高さを表した強装束、冠の後ろに垂直に立っている巾子(こじ)に髻を入れ、根元に笄(こうがい。髪留めの具)を挿して冠が落ちないようにしている。袍(ほう。上衣)には輪無唐草が描かれている。
正面の平たい帯は平緒と呼ばれる、毛抜形太刀の緒。桐鳳凰が金泥で描かれている。柄頭(つかがしら)にかぶせた兜金から垂れているのは手抜緒。
恐らく中国から輸入した絵絹(143センチ×122センチは国内では作れない)。他に藤原光能、平重盛。直線的な三角形構図が威厳を示す。
実際に見ると、その壮大さに驚かされる。教科書のイメージから、もっと小さい絵画のように感じていたが、迫力に圧倒された。しかも、京博の「国宝展」で見たので、三幅同時に拝見する事ができ、存在感の凄さ、武家の力に感じ入った。通常は、虫干しのときにしか見られないので、機会があれば、是非。