1328年建立。聖徳太子の開基と伝える浄土寺。丹塗りの多宝塔は、蝶を透かし彫りした蟇股など、装飾性に富んでいる。大きいが釣り合いがとれた建物。
多宝塔とは、一重目が正方形、二重目が円形の二重塔のこと。唐の本体が円形なのに正方形の屋根を支えるため、重い瓦が使えず、軽い檜皮の屋根の多宝塔が多い。浄土寺の多宝塔は中世の日本で最大かつ現存最古の瓦葺き。
屋根の四方の隅を支える邪鬼、柱と柱を支える蟇股の彫刻、複雑な組物は、見ごたえがある。滋賀県の石山寺、和歌山県の金剛三昧院と並んで日本三名塔というのは、初めて知った。日本国内であっても、ネットに溢れかえる情報だけでは知れないものがある。それを感じた。