大山祇神社所蔵。麻糸を紫地の小さな葵文の綾で包んだ緒で威した胴は約68センチ。大袖は高さ43センチ。
兜はないが、総体に古風な原形を残した豪壮華麗な趣がある。社伝では源頼朝の奉納品という。
…まぁ、史実からすると頼朝が自らここ伊予の国まで参じたとは考えにくい。しかしながら、遠く鎌倉から源平合戦の最終的な到達点を、願うように(もちろん源氏の勝利で終わることを望んで)待ちわびていたのだろう。そして、その海の総鎮守たる大山祇神社に、当然のことながら、その願いを乗せた一品を奉じたというのはよくわかる。
その後の日本の行方を大きく変えた源平合戦。その勝者の総大将が、願いや思いを乗せて奉じた鎧だけに、その落ち着いた雰囲気にも迫力を感じる。