世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【考察:奄美・琉球諸島の世界遺産登録の目的を問う】

奄美琉球諸島世界自然遺産登録へ向け、来月の推薦書提出」が閣議決定された。順調にいけば、2020年に世界遺産委員会で審議され、登録されることとなる。

ただ、これを伝えるマスコミの姿勢にはだいぶ疑問を感じる。「なぜ、これが世界遺産候補なのか」という視点がずっぽり抜け落ちているのだ。

そもそも、なぜ奄美琉球諸島世界遺産候補なのか。それは、「生物多様性」を評価することができるから。そして、なぜ世界遺産とするのか。それは、「世界遺産とすることで、その自然環境を保全し、この地域の生物多様性という地球の宝を次世代に引き継いでいくため」なのだ。

そこが抜けているので、「世界遺産になったら自然が破壊される」などの地元の誤解が生まれ、反対運動などが起こってしまっている。これは「世界遺産=世界的に認められた観光地」というマスコミの大いなる勘違いとともに、「世界遺産に登録されれば、観光ビジネスが活発化する」と考えている旅行・観光業界のミスリードの掛け算で発生しているともいえる。

世界遺産登録の目的は、保全である。そのためには金がかかるので、ルールを守った節度ある観光は地元に金が落ちるので保全につながるが、べらぼうな観光開発はその理念に反する」

ということを、理解する必要があろう。