世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【仕事の心理学】他職場の見え面

昼食を出先で食っていたときに、他職場の話に。

「あの職場は連携が出来てない」「本来はこうあるべきだが、そうなってない」等々、「岡目八目」と言えば聞こえはいいが、他職場に対しての評価って、概ね低くなりがち。聞いてて思ったのは「ホントかな?」ということ。

《ポイント》
●内部事情は、部外者には見えない。
傍から見て不合理と思われる行動を取る組織は(個人でもそうなのだが)、何かしら、制約条件を抱えている事が多い。それが組織のミッション達成から見ると明らかにおかしくても、「日々のルーティン運用」においては、何らかの合理性が(意識してか無意識かは別として)ある。そこを見ずして議論しても「非現実的」。

●「あるべき」論は、「自分の」あるべきで、普遍的ではない。
立場が強い人ほどよく使う「こうあるべき」。でも、それって、みんなの共通認識か?と考えると、実際はそうでもないことが多い。あくまで自分の理想でしかなく、となると、100人いれば100通りの理想がある。特に、20世紀高度成長期のように、猫も杓子も同じように…というライフスタイルではない以上、乖離はどんどん大きくなっていく。
自分の理想と現実のギャップを、立場が強い人は「あるべき」と語り、立場が弱い人は「不満」として漏らす。どこの職場も然り、である。
言わんや、部外者が他職場に自分の理想を当て込むなんて、何にもならない。

《問題の所在》
「頭の上の蠅を追え」状態であること。外部から他職場の評論をするのは無責任だし、制約条件も(細かくは)わからないので、言いたい放題となってしまう。
でも、他職場の人がいない状態で、自分達の見解を投げ合っても、物事は一ミリも進まない。それなら、その時間を自職場の振り返りに使った方が、よほど生産性がある。

ただ、「他職場の人がそこにいる」かつ「相手の言葉に耳を傾ける」なら、話は別。「自分の知らない話が入ってくる(情報が多面的になる)」と、自分の視野の歪みを是正できるし、相手にとっても「そう見えているのか!」と気づきに繋がる。
とはいえ、相手からすると「批判に身をさらす」事になる(かつ、自分も反撃の批判を受けることになる)ので、心理的安全が保たれることが前提条件である。

自分を見ずに、人の批判をするのは簡単。でもそれは、とりもなおさず、自分も批判されているという事。そして、その状態は何も生み出さない。そこに気付かないと。

自戒の念を込めて。