〈ここが凄い!〉
海洋島で独自の進化を遂げた生態系
〈お薦め度(5段階評価)〉
★★★★☆
独自の生態系ゆえ、ここでしか見られない自然の動植物に触れることができる。
〈アクセス(5段階評価)〉
★★★☆☆
東京都ではあるが、日本の世界遺産で一番アクセスしにくい場所(週1便の船で24時間以上)。
〈保有国〉
日本
〈登録年〉
2011
〈登録基準〉
ⅸ:動植物の進化や発展の過程、独自の生態系を示す遺産で、現在進行中の生態学、生物学の代表例も含まれる。
〈概要〉
●独自の進化を遂げた生態系
大陸と一度もつながったことのない海洋島のため、生物集団が極端に偏っている。爬虫類は2種類、哺乳類はオガサワラオオコウモリ一種類、両生類は皆無。他方、昆虫の25%、陸産貝類の94%が固有種。
●独特な植生
維管束植物の固有種率がきわめて高く、在来種441種のうち161種が固有種。他方、ブナやカシ、シイなどはまったく存在しない。
●固有種と絶滅危惧種
近海ではクジラ23種が確認されている。その中でも、ミナミハンドウイルカは小笠原諸島に定住している。しかしながら、外来種であるグリーンアノール(トカゲの一種)などが自然を荒らすことが課題となっている。
〈課題〉
外来種対策(固有種が、外来種によって絶滅の危機に瀕している)
〈参考図書〉
清水善和「小笠原諸島に学ぶ進化論」
東洋のガラパゴスともいわれる小笠原諸島。それは、その独自の自然環境や生物進化に由来している。しかしながら、一般的には生物進化の過程などはあまり理解されていない(特に、自分のような文系人間はまるで駄目である)。ゆえに、その価値がわからない、という残念な事態に陥りがち。
この本は、「知りたいサイエンス」シリーズでもあり、豊富な図解で「生物についての素人」でも十分にわかるように書いてくれている。