世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【読了】中原淳「働く大人のための学びの教科書」

今年45冊目読了。東京大学総合教育研究センター准教授(当時)の筆者が、100年ライフを生き抜くスキルを書き表した一冊。


ブックカバーチャレンジが回ってきて紹介したので、2年ぶりに再読。なるほど、今このタイミングで読むべき一冊だったなぁ、と痛感。


学びの原理原則「背伸びの原理」「振り返りの原理」「つながりの原理」と、7つの具体的な行動「①タフな仕事から学ぶ」「②本を1トン読む」「③人から教えられて学ぶ」「④越境する」「⑤フィードバックを取りに行く」「⑥場をつくる」「⑦教えてみる」は、当時も感銘を受けたが、今はコロナ禍において、さらに強く意識すべきだと感じる。


学び続けることの必要性を説く「これからの時代を生き抜く人は、新たな環境変化に対して好奇心や興味を失うことなく、自分を常にモニタリングし、自ら立て直していくことが求められる」「人は生存不安を高められて、かつ学習不安が減った時に学習する」「自分の経験やものの見方をいったんでも手放すというのは勇気のいることです。しかし、その勇気を持つことで、これまで疑うことのなかった今までのやり方を改善できるチャンスに恵まれます」のあたりは、2年前よりも、コロナ禍にある今だからこそ、なお重たく受け止める必要がある。


そして、みんなが自信を失っている今だからこそ「他人からの感謝や承認は、背伸びに取り組み続けるモティベーションをあなたに与えてくれる」「ポジティブな他者からの言葉で、弱っている自分、途方に暮れている自分を快復させてあげることが大事」のフレーズは心にしみる。


「人は違和感によってしか、本当に自分に向いているもの、正しいものを見つけることができません」「世界を広げるには自分が動くしかない。ということは、動けば世界は広がっていく」のあたりは、この2年間で忘れてしまった姿勢である。猛省。


「折に触れて、自分を俯瞰的に見つめ、考え直す勇気と機会を持ちたい」というこの本のメッセージを、そのまま読んでいて感じ取ることができ、再読の意義を痛感している。


良書は、繰り返し読む。そして、それが自らの羅針盤となり、方向のズレを修正してくれる。そんなことを教えてくれた、今回の「2年越しの再読」であった。それにしても、7つの具体的行動のうち、「①タフな仕事から学ぶ」と「⑦教えてみる」しかやっていない現状は、まだ余地があるということだ。2年前は、これに加えて「④越境する」「⑥場をつくる」をやっていたわけだし。いやはや、人間というのは忘れる生き物だ。だからこそ、テキストとなって固定している「本」によって思い出す、ということは非常に大事。