世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【ブックカバーチャレンジから:再読の意義(駄本偏)】

ブックカバーチャレンジで、15年前のスポーツ関連書籍を読んでみた。懐かしいのもさることながら、なかなか衝撃を受けた。


読んだのは、伊藤伸一郎「バレンタイン監督の人材活用術」。低迷するロッテ・マリーンズを劇的に変えた男の指導法、というサブタイトルとともに「企業の経営者たちを唸らせる名将ボビーの人心掌握術のすべて」と表紙に明記している。このあたりから、「香ばしさ」満々。
マリーンズファンとしては、2005年に31年ぶりに日本一に導いたボビー・バレンタイン政権の1年間はまさに夢のようだった。魅入られるように購入し、その頃には「そうだよなぁ!」と思っていた。
しかし、その後、バレンタイン監督はその我儘、銭ゲバっぷりからフロントと衝突し、2009年にファンを二分する大騒動を巻き起こし、去っていった。その経緯を知った後から10年以上経っている。もう、あの興奮は遥か彼方、である。


そんな心境で、たまたまブックカバーチャレンジで「自分が持っている一番古い本」という位置づけで選んだ。選んだ以上、ちょっと読んでみるか、と開いたら、まぁなんとも言えない抽象論だらけ。筆者は経営コンサルタントとのことで、ビジネスっぽい話もしているのだが、どれもこれも「ロッテファンのコンサルが、それっぽく味付けしただけ」というテイスト満々。しかも「今後は、バレンタイン監督のやり方が主流になるのでは?」と、後から振り返るとそれってギャグだろ、というような記述まである。


正直、こんな本を後生大事に15年も本棚にいさせたのか、と若干残念な気持ちになりつつも、気づくことがあった。この本を読むに、


<スポーツ系駄本の特徴>
・一時期の成功をもてはやす
・総花的に成功に関わる事柄をなんでも誉める
・スポーツをビジネスと繋げたがる


ということなのではなかろうか、と。そして、なんでこんな役に立たない本を取っておいたか。それは「強烈に印象の残った観光地のお土産」と同じなのだろうと思う。「あの」忘れられない素晴らしい日々を、追体験するための装置。だから、そこには本としての教訓を求めてはいけないのかもしれない。


いかなる本にも、持ち続けるには理由がある。そんなことを感じることができた。とはいえ、次の書籍整理のタイミングで、間違いなく「さようなら」するべき一冊ではあったが(笑)。