世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【読了】キャロル・S・ドゥエック「やればできるの法則」

【読了】今年32冊目読了。スタンフォード大学心理学教授の筆者が、やればできる!の研究を書き記した一冊。


〈お薦め対象〉
人や子供を育成する、または自分を育てようとするすべての人
〈お薦め度(5段階評価)〉
★★★★★
〈実用度(5段階評価)〉
★★★★★


前提として、「自分の性格と思っているものの多くは、マインドセット(心のあり方)の産物」としたうえで、話が展開される。


自分の問いは3つ。
『硬直マインドセットの特徴は?』には「ものごとが完全に自分の手中にあって順調に進んでいるとき、意気揚々とする。しくじってはならないという切迫感にいつも駆られ、成功すると誇らしさが優越感にまで膨れ上がる。自分や他人の品定めばかりする」。
『しなやかマインドセットの特徴は?』には「何かに全力で取り組むときに意気揚々とする。人間の基本的資質は努力次第で伸ばすことができるという信念を持つ。うまくいかないときにこそ、粘り強い頑張りを見せる」。
『どうすれば、しなやかマインドセットを手に入れられるか?』には「つねに向上することを心掛ける。人は変われるという信念を持つ。失敗を何かのせいにしない。成長するため、十分な時間と努力と支え合いを欠かさない」。


この本は、シンプルな話を数々の事例を挙げているものながら、非常に読みごたえがある。「人間関係は、はぐくむ努力をしない限り、ダメになる一方で、けっして良くなりはしない」「脳は、筋肉と同じく、使えば使うほど性能がアップする」などの指摘も、非常に心に迫るものがある。


ここに出てきた「しなやかマインドセット」で生きていくことが、人の成長につながる、ということは本当によくわかる。そのためにも「自分を向上させることに関心を向ける」「失敗をバネにして、さらに前進しようとする」「知力や才能は伸ばせると信じ、学ぶプロセスを大切にする」ということも意識しながら、自らも周囲も成長できるようにしていきたい。


「成長」「発達」ということについて、極めてわかりやすく、かつ読みやすくまとまっている。すべての人にとっての必読書と言えよう。超おすすめ。