世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【名将・野村克也氏逝去に際して(言語化の達人)】

パ・リーグ歴代最強打者にして、弱小チームを率いて成果を挙げた名将・野村克也氏が2月11日に逝去した。リーダーとして、ビジネスにおいても非常に参考になる教訓を数々残された方だ。その訃報に際し、感じたこと。


<ポイント>
●学び、実践し、教訓化する。
野村監督の教養の幅広さは、言っては何だが「アスリート」のレベルではなかった。なまじな政財界の人間より、はるかに学んでいたし、古典にも精通していた。
しかし、本当の凄さはそこではない。それをリーダーとして組織牽引に「わかりやすい形で」活用し、それを「今、このように活かすことができる」と教訓化したことである。


●達人的な言語化
野村監督といえば、執筆活動の旺盛さも常識を超えていた。「マスコミが飛びつきやすい」「相手が理解しやすい」キャッチフレーズで、自分の得た教訓を表現することのなんと巧みであったことか。
「~~語録」と言われるものを残すスポーツ選手は数多いが、そのままビジネスリーダーの教訓書となる人なんて、寡聞にして知らない。


<問題の所在>
●組織はリーダーの器以上には成長しない。
野村監督の名言の一つで、自身がよくかみしめる言葉。立場が上がれば上がるほど「権力」というカードを手にすることにより、メンバーからの「真摯な」フィードバックがどんどん減っていく。
そうなると、ついつい、人間は自分に甘いので「今までのやり方(=自分なりの勝ちパターン)でよい」と、得意技を使い続ける事だけで成長を放棄してしまう罠に陥りがち。
野村監督は、とにかく学び、そしてアウトプットを繰り返していた。リーダー自らが「器を広げる」努力をすることが、組織を活性化していったのだろう。そして、「知将」という側面だけでなく、「信は万物の基を成す」という「情に厚い」側面もある。人間観察、心理術を学び、実践しつくした名将だからこそ、だろう。


いくつになってもチャレンジしていく姿勢。「しっぱいと書いて、成長と読む」を引くまでもなく、「体現することで織りなした」名言だからこそ、人の心に響く。実践する姿勢を、忘れずにいきたい。


自戒の念を込めて。