世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【読了】ビル・バーネット、デイヴ・エヴァンス「ライフデザイン」

今年108冊目読了。スタンフォード大学デザイン・プログラムのエグゼクティブディレクターと講師であり、ライフデザイン・ラボの共同設立者である著者が、スタンフォード式の最高の人生設計を提唱する一冊。

デザイン思考に立ちながら、機械工学や技術の知識を活かしつつ、それを人生というものを充実させることに使えないだろうか?と考えた、なかなか野心的な試み。非常に人気を呼んだ本で、自分の人生をデザインしていくのに必要ないくつものワークをあわせて提言している。

ただ、これを個人でやり切れるのか?というところが難点である。人間は、自分のことが一番見えていない。他者の協力なくこれをやり抜くのはなかなか大変だし、他者の協力を求めようにも、その助言を聞き入れ切れるのかという問題もある。

とはいえ、なかなか主張は面白い。「問題を出発点にするな。人間を、共感を出発点にしよう」ちおうデザイン思考をベースに、「人生は成長と変化だ。人生は止まっているわけではない。行き先があるわけでもない。だれも自分がなにになりたいなんてわからない」としたうえで、ライフデザインのマインドセットを「好奇心、行動主義、視点の転換、認識、過激なコラボレーション」と定義する。理想の人生デザインとは「あなたの人間性、あなたの考え方、あなたの行動がぴたりと揃う人生」というのも、非常に納得がいく。

また、「無意識のうちに他人のコンパスを使って他人の人生を生きてしまう可能性はだれにでもある」と指摘。これを避けるためにも「対処不可能な問題にいつまでもこだわるのを避ける」「目の前の手掛かりに注目し、手元にある道具を使って最善の道を選ぶだけ」を意識すべき、とする。そうすることで、「不要な選択肢を断ち切るのが上手になればなるほど、未知を築くのが上手になっていく」というのだ。

このほかにも、失敗を成長につなげるため「1、失敗記録をつける。2、失敗を分類する。3、成長のヒントを見つけ出す」。ライフデザイナーの信条として「1、優れたアイデアが多ければ多いほど、そのなかからよりよいアイデアを選べる。2、どんな問題であれ、絶対に最初に思いついた解決策を選ばない」。人生の道探しにとって大事な要素は「楽しいこと、熱中できること、ワクワクすること、生き生きとさせてくれること」など、納得のいくものが多く、共感しながら読むことができた。