世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【読了】佐藤航陽「お金2.0」

今年92冊目読了。株式会社メタップス代表取締役社長の筆者が、新しい経済のルールと生き方を書き記した一冊。

〈お薦め対象〉
今後の社会、経済がどうなるかに興味のある人
〈お薦め度(5段階評価)〉
★★★★★
〈実用度(5段階評価)〉
★★★★★

自分の問いは3つ。
『人間の行動特性は何か?』には「新しいものが出てきたとき、それに似た業界の前提知識があると、ついそれに当てはめて新しいものを見てしまう。不確実性がまったくない世界では、想像力を働かせて積極的に何かに取り組む意欲が失われる。他者より比較優位にありたいという欲望が、人間が継続的努力をする原動力となる」。
『今後、世の中はどう変化するか?』には「可視化された資本ではなく、お金に変換される前の価値を中心とした世界に代わっていく。複数の経済圏が併存し、選択肢があることによって多くの人ががリスクを取って積極的に活動をする。人生の意義・目的は欠落・欲求不満から生まれるが、あらゆるものが満たされる世界になり、人生の意義や目的こそが逆に価値になる」。
『変化する時代の中でどう生きていくか?』には「ある仮説が思い浮かんだら、ビジネスなどの現実世界に当てはめて実験してみる。他人に伝えられるほどの熱量を持って取り組めることを探す。枠組みの中での競争でなく、自分なりの独自の枠組みを作る」。

とにかく、読みやすくて面白いので、一気に読んでしまった。お金と経済をこんなふうに定義する、というのは想像だにしなかった。「未来の方向性を決めるベクトルは、お金、感情、テクノロジー」「テクノロジーの変化を線でとらえ、バズワードよりも変化をひとつの現象として理解する。」「好奇心と想像力を絶やさない」など、強く頷く記述多数。こうしたことに目を向けることができている人は強いし、こういう考えを知ることで様々な思考、アイデアが出てくる可能性がある。既存の知識のみ、延長線上のみでは未来はない。まさに「変化するものが生き残る」時代において、一つのいい知見を提供してくれる。ぜひ、一読をお勧めしたい。