藤田美術館所蔵、黒漆塗金銀蒔絵、平安時代。
挟軾とは、肘をかける脇息のこと。奈良の薬師寺の鎮守・休ヶ岡八幡宮伝来とされ、祭神の御料であった可能性もある。
花と蝶を研ぎ出している。文様には奈良時代の遺風が感じられ、平安時代前期の蒔絵の遺例として貴重。
ぱっと見は「なんだこの古びた道具は?」というような感覚に陥る。国宝は、歴史的経緯、その文化的背景などが重厚に関わってくる物件もあるため、やはり「勉強をしてから実際に拝見する」という流れが必要になってくる。「知識が大事」。しかし、「知識におぼれすぎない」。その両方で、感性を鍛えていくべきだろう。