世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【読了】マシュー・サイド「失敗の科学」

今年81冊目読了。タイムズ紙の一級コラムニストでありライターの筆者が、失敗から成功を導く驚くべき事実を書き記した一冊。

〈お薦め対象〉
失敗と向き合わねばならないすべての人
〈お薦め度(5段階評価)〉
★★★★★
〈実用度(5段階評価)〉
★★★★★

自分の問いは3つ。
『何が失敗をもたらすのか?』には「社会的圧力・有無を言わせぬ上下関係。間違いを教えてくれるフィードバックがない。完璧主義」。
『失敗に向き合うときに陥りがちな罠は?』には「事実に対して都合のいい解釈をつけたり、無視することで信念を貫き通す。間違いが怒ると、その経緯よりも、だれの責任かを追及することに気を取られる。まわりの評価と自らのプライドを守るため、ミスを隠す」。
『どうすれば失敗から学べるか?』には「失敗に対してオープンな文化を創る。注意深く考え、物事の奥底にある真実を見抜いてやろうという意志を持つ。大きなゴールを小さく分解し、一つひとつ改善して積み重ねる」。

とにかく事例が面白く、圧倒的に引きずり込まれた。個人的に、航空業界に甘く、医療業界に厳しいのは何か経緯があるの?と思う点があるくらいで、あとはとにかく読みながら何度も頷くばかり。「人を非難せず、問題を深く探り、本当に何が起こったのかを突き止める」「根気強く努力を続ければ、自分の資質をさらに高めて成長できると信じる」「自分の仮説に反する事例で検証する」など、心に刻みたいフレーズ多数。

「改善の原動力は、失敗から学ぼうという姿勢」。その姿勢を持ち続けたいものだ。数々の先人の失敗に向き合ってきた人たちにより、今の世の中の恩恵が存在する。したがって、今を生きる自分たちも、先人同様、上記の価値観によって失敗と向き合い、自らを成長させていきたいものだ。