ここ半年、ちまちまと古典文学を読んでいる。
「文学中年」なんて、どうなんだ?という感は否めないし、リアルが恐ろしく複雑なのに過去の小説を読み耽る暇はないだろう、という感覚もまたわかる。
…が、しかし。
人間の本質というのは、過去から変わっていないんだなぁ、ということを、古典文学を読めば読むほど痛感せざるを得ない。
21世紀のリーダーシップの本も何冊か読んでいるが、なるほど、科学技術の発展により、理解やロジックの裏付けは深まっている。しかし、人間の根本は何も変わっていないので、問題の所在はだいたい似たようなものだ。
そして、人間という存在への絶望、諦念、希望、信頼。過去の文豪たちが抱いた感情もまた、現代の組織論やリーダーシップ、生き方に迷う人々が漠然と抱えているものと一脈通じるものがある、と思わざるを得ない。
もちろん、現代の社会環境は、古典文学が執筆された時代とは大きく変容しているので、「打ち手」は変化している。ただ、打ち手の前提となる「問い」を立てるには、古典文学は非常に有益と感じる。
かつて読んだ名著も、社会経験を重ねてから読むと、また味わいが違う。そうした観点からも、「文学中年」、意外に得るものが多い。
やってみるのも、一興かと。お勧めしたい。