世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【読了】ミル「自由論」

今年75冊目読了。19世紀イギリスを代表する哲学者・経済学者の著者による、民主主義と自由主義のバランスを説いた名著。

19世紀に、ここまで見抜いた慧眼に恐れ入るとともに、なんと人類は進歩しないものか…と愕然とする。ミルが、既にしてここまで確固たる提言と警告をしていたにも関わらず、人類は第二次大戦のファシズムによる暴挙を止められず、また21世紀においても分裂と断絶による危機に瀕している。

ネットによる「世論形成」という凄まじい力が猛威を振るう今だからこそ、この古典を読む必要がある、と感じる。ミルの主張については、本文からの抜き書きで、その一端を感じ取って、ぜひ一読してほしい。

「社会全体、あるいはその有力な部分に広がった好き嫌いの感情こそ、社会が全体として守るべき規則、そして守らねば法律や世論によって罰せられるという規則を定めた事実上の主役なのである。」
「人間が個人としてであれ集団としてであれ、ほかの人間の行動の自由に干渉するのが正当化されるのは、自衛のためである場合に限られる」
「人が良いと思う生き方をほかの人に強制するよりも、それぞれの好きな生き方を互いに認め合うほうが、人類にとって、はるかに有益なのである。」
「誰でも自分は間違えることがあると知っているのに、そのことをつねに心にとめておかねばと考える人はほとんどいない。」
「自分の意見に反駁・反証する自由を完全に認めてあげることこそ、自分の意見が、自分の行動の指針として正しいといえるための絶対的な条件なのである。」
「人は疑わしいと思わなくなったことがらについては、考えるのをやめたがる。それが人間のどうしようもない性向であり、人間のあやまちの半分はそれが原因だ。」
「その人自身の性格でなく、世間の伝統や慣習を行為のルールにしていると、人間を幸せにする主要な要素が失われる。個人と社会の進歩にとっての重要な要素も失われる。」
「個性とは人間として成長することである。個性を育ててこそ、十分に発達した人間が生まれる」