今年70冊目読了。ノーベル文学賞を受賞したフランスの作家である筆者の代表作。
ジッド自らの体験をモチーフにした恋愛小説だが、相思相愛でありながらその衝撃的な展開と、ストイックなまでに頑なな態度によって、凄まじいインパクトと問いをもたらす。ジッドの苛烈な経験が生かされているので、読む人それぞれに(自分が抱いている苛烈な経験をシンクロさせていくので)共感ポイントが違うだろうな、と感じる。
正直、何を切り出してもネタバレになってしまい、読むときの面白さがなくなってしまうので、何も書けない(というか、自身で読んでほしい)一冊なのだが、ぜひ、一読をお勧めしたい。
ヒントとなるのは、タイトルにもなっている「マタイの福音書」の一節。「狭い門から入りなさい。滅びに通じる門は広く、その道も広々として、そこから入る者が多い。しかし、命に通じる門はなんと狭く、その道も細いことか。それを見いだす者は少ない」。