今日のいいニュースは、「百舌鳥・古市古墳群、世界遺産登録へ前進」。ただ、さすがにTVのテロップは「世界遺産登録へ」となっているものの、町の人は「祝・世界遺産」なんて先走って話をしているので、これを機会に、「なんで世界遺産登録『へ』ってなっているの?」をおさらいしたい。
<世界遺産登録フロー>
◆第一段階:国内
1)世界遺産条約を締結
まず、「世界遺産条約」を結ばないと、そもそも世界遺産の議論が始められない。
2)自国内の暫定リストを作成、ユネスコの世界遺産センターへ提出。
続いて、国内で「これ、世界遺産にしたいよね!」というリストをユネスコに提出する。これだけでも、国内の調整をしなければならないので、けっこう大変。
3)リスト記載物件の中から、要件が整ったものを推薦
「これ、世界遺産に適した文化や伝統を継承してるよね!(真正性)」、「顕著な普遍的価値を構成する要素が全部あるよね!(完全性)」が整った物件を推薦する。
◆第二段階:世界遺産センター
ユネスコの機関である「世界遺産センター」が窓口となって、各国政府からの推薦書を受理し、物件の現地調査を依頼。
◆第三段階:専門機関による調査
自然遺産ならIUCN(国際自然保護連合)、文化遺産なら国際記念物遺跡会議(ICOMOS)が調査を行い、その結果を世界遺産センターに報告する。あくまで専門機関による調査のため、最終決定ではない。
…で、今、「百舌鳥・古市古墳群」は、このICOMOSの調査結果が世界遺産センターに「登録を勧告する(ま、これは世界遺産に登録すべきだよね)」というものであった、ということ。なので、世界遺産登録「へ」なのだ。
※専門機関が「登録勧告」したら、ほぼほぼそのまま進む。
◆第四段階:世界遺産委員会
世界遺産センターを介して結果を受理した世界遺産委員会が、候補地を審査のうえ、世界遺産リストへの記載を決定する。
→ここに至らないと、正式に「世界遺産」となるわけではない。なので、古墳群も「世界遺産」にはまだなっていないのだ。
大仙陵(今は仁徳天皇陵とは言わない)。前方後円墳なんて形、でかすぎて全くわからん。
というわけで、登録はまぁ大丈夫だろうが、そんな言い方になっているのだ。