世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【国宝・禽獣葡萄鏡】

大山祇神社所蔵。径26.8センチ、縁厚1.7センチの大きな白銅鋳製円鏡で、鏡面はゆるく反る。背の図は波状に旋曲した葡萄の蔓に果実と葉を交互に配し、蔓を区画内に伸展させて地紋としている。紐を通す鈕(ちゅう)を中心に、孔雀、鳳凰、獅子、小さな禽獣が描かれている。
社伝では斉明天皇の奉納と伝える。獅子(海獣)と葡萄唐草文を基本的なモチーフとする海獣葡萄鏡は、7~8世紀にかけて盛んに製作された唐時代を代表する青銅鏡。

7世紀の宝物が今なおそのままの姿で残っていることが、まずもって素晴らしい。しかも、斉明天皇の奉納ということで、一級品を超えた特級品レベルであることは間違いない。唐の時代であれば、日本はひたすら先進国を模倣している状態。その中で、海運の大動脈であった瀬戸内海に、この宝物が奉納されているのもむべなるかな。歴史と地理が今に伝えるメッセージを感じ取るのも、面白い。