大山祇神社所蔵。南北朝時代に流行した野太刀の代表作。身長135.7センチ、反り4.8センチで、切先の長さは6.8センチ。
後村上天皇が奉納したと伝える。茎(なかご)に「貞治五年丙午千手院長吉」という長い銘が切ってあり、一三六六年作であることがわかる。
刀剣にはそこまで詳しいわけではないが、実際の刃文などの美しさを見ると、その技術の高さを感じることができる。もともとは武器であったのだが、ここまでくると完全に工芸品である。ほかの重文クラスの刀剣と異なり、刃先の反りのピシッとした佇まいがまずもってレベルが高い。展示物の中には刃こぼれしているものもあるのだが、当然国宝、そんなことはない。確かに、これだけのものを必勝祈願で奉納する、という気持ちはわかるように感じる。