大山祇神社所蔵。鎌倉時代に作られた太刀で、拵総長97センチ、柄を白の鮫皮で包み、細かい粒状の魚子地(ななこじ)に牡丹唐草文を高彫りした金銅の覆輪をかけ、牡丹文の大きな鋲を表裏4個打つ。
刀身は無銘で長さ60.9センチ、焼刃がなくとがった形のカマス切先である。護良親王の奉納と伝えられ、「集古十種」にも載っている。帯取の紐に銀の鎖を用いた太刀は鎌倉時代に上級武将に好まれた実用品だが、鎌倉中期以降は社寺への奉納品として扱われた。
実際に見てみると、その拵の精緻さに圧倒される。そして、鎌倉末期のものが、現代においてもその美しさを全く色褪せることなく輝きを放っていることが素晴らしい。さすが国宝、やはり持っているエネルギーが違う。そう思わせる一品だ。