MOA美術館所蔵。
古筆手鑑「翰墨城」は、「藻塩草」(京都国立博物館蔵)「見ぬ世の友」(出光美術館蔵)とともに、古筆三大手鑑の一つとして夙に名高い。
手鑑の中でも早い時期に成立したと考えられ、鑑定の基本台帳として古筆家別家の古筆了仲(りょうちゅう)(1655~1736)に所伝し、のちに益田鈍翁(1847~1938)が旧蔵した。「翰墨城」の名は、翰(筆)と墨によって築かれた城という意味で、まさに名筆の宝庫に相応しい名称といえよう。、奈良時代から南北朝・室町時代の各時代にわたる古筆が、表側154葉、裏側157葉の合計311葉収められている。
弘法大師、菅原道真、小野道風という「書の三聖」の名筆がすべて揃う上に、藤原佐理など「書の三賢」に連なる名筆もあり、まさに圧巻としか言いようがない。ただ書くだけで、これだけのパワーがあるのだから、本当に時代を超えて素晴らしい。
菅原道真の書。
小野道風、藤原理佐の書。
弘法大師の書。