今年39冊目読了。コレクティブ・ウィズダム・イニシアチブ共同設立者、コレクティブ・ウィズダム・イニシアチブ研究責任者、スタンフォード大学法学博士、フェッツァー財団上級顧問の筆者陣が、人と組織にとって最もすばらしいことは何かを書き記した一冊。
〈お薦め対象〉
集団の力を、個人の力より高めたい全ての人
〈お薦め度(5段階評価)〉
★★★★★
〈実用度(5段階評価)〉
★★★★★
自分の問いは3つ。
『集合知の特徴は何か?』には「今に注意が払われた際にふっと出現する。意図的・計画的に引き出したりコントロールしたりすることはできない。出現は、自然に対する鋭い感受性や観察眼の有無に左右される」。
『なぜ人は衆愚に陥るのか?』には「分断と細分化による極性化。いつわりの合意、見せかけの団結に向かう。何らかの不安により、多義に耐えられず、救世主や救済的発想が魅力的に見える」。
『集合知を導くにはどうすればよいか?』には「集団が進んでリスクを負い、わからないという事実を認める。外で起こる事にはすべて内面的な意図と示唆があると理解する。問題提起できるばをつくるため、安心させようという思いやりを持つ」。
傾倒している「U理論」や「学習する組織」と連動している考え方なので、自分にはすっと入ってきた。様々な切り口は取るものの、基本的なスタンスは一貫しているので、読みやすい。上記以外にも「知は傲慢さではなく、謙虚さの中に現れる」「わかるとわからないの狭間、新たな意味と支店が生じる小さな隙間に知がたちのぼってくる」「人を導くのは、経験を踏まえる力、他人と協力する道を見つけようとする意志」「洞察をはぐくむには光と闇が欠かせない」など、鋭い記述が多数あり、非常に勉強になる。
もちろん、こういった組織開発的な書物は、読んで満足では何の意味もなく、いかに現場で実装していくか、ということに尽きるのだが、まずもって知識がないと実装の検討のしようもない。その意味においては、大切な視点を再確認することができる。おすすめの一冊だ。