今年34冊目読了。セルフリーダーシップ開発のU理論を日本で広める著者が、組織開発に寄った形でU理論の実践的活用を提唱する一冊。
オットー・シャーマー博士の「U理論」は550ページ以上あり、かつ難解な表現が多いため、極めて読むのに骨が折れるのだが、この本はとてもわかりやすく噛み砕いている。U理論そのものを学んだことがなくとも、脳科学・心理学を駆使して「組織がしばしば陥る問題をどのように観るべきか?」ということを図解を加えて紹介しているので、理解しやすい。
また、その解決法として「U理論」を使いこなしていくことを提唱しているのだが、これがかなりわかりやすい。「実装できない理論は意味がない」と思っているのだが、とにかく非常に難解なU理論をよくぞここまで落とし込んでくれた、という感覚。
U理論を紹介するシリーズとしては「U理論入門」「まんがでわかるU理論」が今まで発刊されていて、いずれもお薦めなのだが、「自分の在り方」に焦点が当たっている。ビジネスでリーダーシップを発揮する人達にとっては、今回の「図解」を読み、実際にビジネスシーンをとらえてみて、そのうえで「U理論入門」か「まんがでわかるU理論」を読むほうが体得できるように感じる。
組織に勤める人、そしてその組織を変えたいと思う・またはその組織にあきらめを感じている人は、必読の一冊。この本を読んで、組織が陥りがちな罠と、その脱出方法を見抜き、一つでも多くの組織が働く人たちにとってよりよくなることを願ってやまない。