世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【読了】西村佳哲「自分の仕事をつくる」

今年31冊目読了。プランニング・ディレクターにして働き方研究家の筆者が、自分らしい仕事をしている人を取材して、その仕事方法などを書き記した一冊。

〈お薦め対象〉
自分らしい仕事をしたいすべての人
〈お薦め度(5段階評価)〉
★★★★★
〈実用度(5段階評価)〉
★★★★★

自分の問いは3つ。
『仕事をするとはどういうことか?』には「自分という個性を通り越し、人間は何が欲しいのか、何を快く思い、何に喜びを見出すかの本質に辿り着く。意味は、自分が行った行為に対するフィードバックによって生成される。人間は『あなたは大切な存在で、生きている価値がある』というメッセージを常に探し求めている」。
『仕事をするときに留意すべきポイントは?』には「すぐれた技術者は、技術の先に必ず人間あるいは世界の有り様を見据えている。デザインしなければならないのは、モノそのものではなく、それを通じて得られる経験。触覚的に作業を進めていくと、本能的部分がいい形で残る」。
『仕事をするときに大事にすべきことは?』には「目的と手段のバランスを失わないため、自分の仕事の目的はそもそもなんだったかを日々自問する。物事に対する観察力を高め、解像度を上げる。働き手を信頼し、尊重する。個性的であろうとするより、無我夢中でやる」。

10年前に、すでにここまで見抜かれているのに、日本の仕事の在り方は…と思いつつも、この本のように生き生きと自分の仕事をしている人が徐々に増えているのもまた体感できるようになっている。心理学、脳科学で学んだことが、実践されるとこうなるんだろうな…という仕事の仕方であり、まずは羨ましいのだが、今度は自らに実装していきたい、と思わせてくれる。

「その人が持っているもの、ちょっとした光っている部分に気づいて、ポッと焦点のあった仕事を与えると、人は必ず成長する」「できるだけ自由に、自発的に仕事をしてもらう」など、自身が意識したいこともしっかり描かれているし、事例のインタビューで構成されているので、とても読みやすい。おすすめの一冊だ。