世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【国宝検定:実は簡単だった!】

国宝検定の受験データが公開された。個人的には「たかがマークシート集計に3ヶ月もかけるのか?」という感覚だが…

男性63%と、女性受験者が多い世界遺産検定とはまるで逆の傾向。そして、試験会場でも感じたが、平均年齢49歳は、資格試験としてはかなり高い。40過ぎのオッサンが平均年齢を引き下げるとは、なかなかだ(笑)。まぁ、国宝って、年配者に受けのいい(←裏を返せば、若者は関心が薄い)言葉だからなぁ。

ところが、合格率を見て、仰天。
初級:95.1%
上級:78.2%
…をい。初級はともかく、上級で4人に3人受かるって、それは大盤振る舞いを遥かに超えているぞ。確かに、受けてみて「模擬問題やってりゃ解けるように設定してきたな(≒思ったよりかなり簡単)」とは感じたが。

受験者心理としては「資格は取りたいが、一定のハードルとしての難易度は確保して欲しい」というところだ。そうでないと、チャレンジする意味がない。学び、自己研鑽し、目標(資格取得)を達成する。そこに面白さがあるのに、「なぁんだ、この程度か…」と思ってしまうと、挑戦意欲が損なわれてしまう。運営側からしても、一発で合格されると、そのぶん受験料収入が減る。
そう考えると、世界遺産検定一級の「受験者の20%」ってのは、一定の理解ができるレベルだ。

で、今後の国宝検定を勝手に想定してみる。
〈パターン1〉
・第二回は滅茶苦茶難しくなり、受験者が減る。
・第三回以降、「それなり」の合格率に落ち着く。
〈パターン2〉
・第二回はとてもしょぼい規模で実施され、そのままフェードアウト。

どうも、パターン2になりそうな気がする。なぜなら、主催者である小学館としては、冊子「ニッポンの国宝100」の販促狙いであり、その売り出しが完了した以上、追加投資をするメリットが薄い。検定主催者の、試験終了後のまったりとした動きから、そのにおいが感じ取れる。

でも。この検定をきっかけに、国宝、ひいては日本の文化財に興味を持った者としては、継続して、国宝についての啓発を促し続けて欲しい。それは、ただ検定で儲ける、という事ではなく、日本の文化財保護に資する、という社会的意義を考えて(←勿論、持ち出しでは継続できないのもリカバリーできるが)。

受験者層からして、ネット発信力が弱いのがネック故、蟷螂の斧であっても、このブログでちょこちょこ国宝と国宝検定について発信していこう。それが、自分なりの「国宝の伝道師」としての役割だ、と勝手に自認して。