世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【読了】見城徹「読書という荒野」

今年15冊目読了。元角川書店取締役編集部長にして、幻冬舎社長の筆者が、読書によって可能になる深い思考を通した読書と人生の関係を書き記した一冊。

〈お薦め対象〉
今の時代を生きるすべての人(読書好きも、そうでない人も)
〈お薦め度(5段階評価)〉
★★★★★
〈実用度(5段階評価)〉
★★★★★

自分の問いは3つ。
『読書のメリットは何か?』には「人間を人間たらしめる言葉を獲得できる。実生活では経験できない別の世界を経験し、他者への想像力を磨く。先人の知恵や生き方が心のよすがになる」。
『世の中の法則は何か?』には「自己嫌悪や嫉妬など、負の感情を経験したことがなければ、人のそれも見抜くことはできない。人が何かを達成するには地獄の道を通らなければならない。生き方から搾り出されてきたものが言葉で、自分の発した言葉がまた自分の生き方をつくっていく」。
『真に生きるために必要なものは何か?』には「自己検証、自己嫌悪、自己否定により進歩する。自分の心揺らぐ瞬間を発見し、思考の軸とする。良心をもって自分を突き詰め、追い込み、他者と本物の関係をつくる。安全策を捨て、暗闇の中でジャンプする」。

もともと、帯に書いてあった秋元康の言葉「見城徹の読書は血の匂いがする。ただ、文字を追って『読了』と悦に入っている輩など、足元にも及ばない。」に、「俺のことか!」と思っていたので、読む機会を得たのだが、なるほど納得だ。壮絶な読書量と読書遍歴もさることながら、読書を人生に消化・昇化させてきた経緯、そしてその過程で身に着けてきた圧倒的な表現力。これは参った、しびれた。読んでいて、何度も鳥肌が立った。

藤原和博「本を読む人だけが手にするもの」も、読書の推薦書としてよいのだが、極めて理性的に丁寧に書き進めていくスタイル。他方、本書は、迸る魂を思い切り叩きつけてくるようなエネルギッシュなスタイルゆえ、インパクトが半端ない。これは、本当に読んでおいてよかった、かつ読むことを絶賛お薦めする一冊だ。