西暦2000年を記念して登場した二千円札。もちろん、今も使えるのだが、目にすること、すっかりなくなったなぁ…
そして、沖縄サミットのタイミングでもあったため、守礼門が描かれていることを覚えている人はかなりいるだろうが、じゃ、裏はなんだっけ?という感じ。実は、ここに国宝が描かれているのだ。
〈源氏物語絵巻〉
12世紀前半に描かれ、徳川美術館、五島美術館所蔵。源氏物語の成立から100年後、白河院、鳥羽院の時代の宮廷で製作されたが作者不明(藤原隆能と言われていたが、5グループが描いたとの説が有力)。彩色や構図で登場人物の心理を描き、「連綿体」と呼ばれる仮名文字を流れるように続ける書体が魅力。
詞書は、料紙と呼ばれる紙に記され、書き出しを少しずつ下げる段落としや行を重ねるなど視覚的にも独特。料紙は22センチ四方で、紫や茶のぼかし染めに下絵を施し、金銀の箔を細かく切った切箔や、金銀箔の粉末である砂子をおしげもなく蒔いてある。
屋根を取り除いて屋内を斜め上から見る「吹抜屋台」の手法で、俯瞰的な視点で見ることができる。表情を見せない「引目鉤鼻」で表現しつつ、わずかな線や人物配置で深い心情を描く。
日本四大絵巻は、この他、鳥獣人物戯画、信貴山縁起絵巻、伴大納言絵巻(いずれも国宝)。
もし、手にする機会があれば、ぜひご覧いただきたい。