盲点に、国宝あり。今回も、お札から。
皆さん、五千円札の裏には何が印刷されているか、わかりますか?…なかなか瞬時には、答えられませんよね。
見てみればわかる…ん?なんだこれ。
これは、カキツバタ。そして、これこそ、国宝なのだ。しかも、「国宝の中の国宝」とも呼ばれる、尾形光琳「燕子花屏風」 である。うん、さすが五千円札。
根津美術館所蔵で、伊勢物語の東下りが画題。在原業平一行が、三河の八橋で一面に咲くカキツバタに心打たれ、はるかな旅路と妻を思う歌を詠んで一行が涙するという場面。
光琳は、京都の呉服屋・雁金屋のボンボンで、放蕩ののちに40過ぎから画家に。44で法橋に叙される。
狩野派や俵屋宗達に学んだが、ここでは金箔と群青、緑青でシンプルかつ大胆な作品を作った。
染織で使う型紙の技法でコピペ。斜めの配置で彼岸と此岸を表現。1000枚超えの金箔、アズライト(藍銅鉱)、マラカイト(孔雀石)を使用。
実物は、2017年に京都国立博物館で開催された「国宝展」で見たが、その圧倒的な迫力、僅か三色で描き出すインパクトに衝撃を受けた。本当に見る価値のある国宝なので、まずは五千円札を有り難く拝もう(笑)。