今年57冊目読了。エジンバラ王立協会フェローで英国主席判事ITアドバイザーと、オックスフォード大学ベリオールカレッジ講師の筆者が、AI、IoT時代に専門家が生き残る方法を書き記した一冊。
〈お薦め対象〉
プロフェッショナルである人、その未来に不安や恐怖を感じる人。未来の社会を考えてみたい人
〈お薦め度(5段階評価)〉
★★★★☆
〈実用度(5段階評価)〉
★★★★☆
自分の問いは3つ。
『プロフェッショナルの特性は?』には「専門知識を有している。何らかの資格に基づいている。活動に関する規制がある。共通の価値観に縛られている」。
『人はどのように行動を変化させていくか?』には「テクノロジーによる変化を受け入れ、自動化・イノベーションに動いていく。専門職が手作業からプロセスへとなり、専門家の時代が終わる。オンラインにより選択肢が増える」。
『プロフェッショナルの未来は将来どうなるか?』には「素早く学び、発展し、対応する柔軟性が必要になる。専門家育成は、徒弟制度の復活・アウトソースされた仕事のサンプル体験・e-ラーニングとなる。思考力はないがハイパフォーマンスの機械の能力に対応するために、認知能力、情緒的能力、身体能力、倫理的能力に意識を向ける必要がある」。
情報技術と、ネットへの接続により、専門家が庇護されている時代は終焉に向かいつつあるのは間違いないと感じる。ただ、いきなりバッサリと仕事がなくなるのではなく、徐々に機械に置き換わっていく、という主張はまったく至当。その中で、人間はどうやって「機械と差別化できる」ように生きていくのか。そこのところに生煮え感があって、どうもモヤモヤした読了感は否めない。とはいえ、問題提起と現状把握においてはかなり整理されているので、興味があれば、一読をお薦めしたい。