世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【トラブル予習の限界その二。】

そもそも、トラブルなんて、やりたくない。だから、世の中にはマニュアルが溢れている。
…が、しかし。スマホなんて、説明書も何もないし、そもそもパソコンを説明書を見て使ったか?と考えると、そんな事はないわけで。そんな中で、自他共にミスで無駄な時間を空費した一日を反省。

《ポイント》
●理屈がわかっていないと、規定外では混乱。
世の中にマニュアルが数あれど、実際には「手順を追う」レベルにとどまる(→なんなら、それすらもメモさせる、というものも)。しかし、からくりがわからないので、当然、規定外の事象が発生するとホワイトアウト。「何とかしないと…」と想定を巡らせて対応しても、そもそも理屈がわかっていないので、「その対応、やっちまってる」になりがち。

● 体感を伴うエラーを許さない空気感。
体感を伴うエラーは、学習としては有意義。しかし、世の中、かつ組織が、それを許さない空気感を漂わせている。
「ミスを許さない」という環境に置かれるとと、人間は萎縮し、却ってミスを誘発する(恐怖は、思考停止を招く)。

《問題の所在》
●指導者と初心者の「経験ギャップ」による意志疎通のズレ
ありがちなのは、指導者からすると「前も言ったよね?」と、非難の感情を込めて相手に指摘をすること。しかし、初心者は、「パターンが違う…」「圧倒的情報量の中で言われたこと、全て覚えていられない…」と、煩悶する。でも、そんなことは言えない。
分断に横たわるのは「経験知」という指導者側の無形の財産。これに頼ると、指導者は楽(初心者に対し、絶対的格差を保てる)。しかし、それでは組織は良くならない。「体で覚えろ!」という、古き悪しき旧大日本帝国陸軍の再来だ。
帝国陸軍的指導では、その作業はAIにとって代わられる(←無駄が多すぎる)。むしろ、システムのからくりを詳らかにし、経験知に基づくノウハウとリスクを、指導者・初心者ともにわかる形で言語化(=アウトプット)し、リスクに備える仕掛けを作る。それこそが、人間が仕事として携わる(=AIに入力すべきデータを用意して、かつ、最後はヒューマンタッチで対応する)意味ではなかろうか。

自戒の念を込めて。