新天地。さすがに10日以上仕事をしてみると、こまごま、目につく・気になる事が出てきて、変化させたくなる。しかし、今まで仕事をしているメンバーからすると「これまでのやり方が当たり前」である。理屈だけではいかないのが、人間であり、組織。
《ポイント》
●人は変化が嫌いなのではなく「変化させられる」ことが嫌い。
変化を嫌う心理。それは、「ホメオスタシス」だけでは説明ができない。なぜなら、人は環境にあわせ、自分の意志で行動を変化させることはそれなり得意だから。
人に言われて「変化させられる」ことは、自己肯定感を削り取られ、無力感を味わうことになる。だから、理屈がどうこうではなく、単純に「いやだ」という感情が先走るのである。
●自負と、脅かされる心理。
既存のメンバーは「こうやって仕事をしてきた」という自負とプライドがある。そのため、「労力をかけていなかった(≒手が回っていなかった)部分」についての変化には、自負とプライドが傷つくことがないので適合できる。他方、「時間と労力をかけてきた仕事」を変化するように促すと、自負とプライドが傷つけられ、かつ自分のやってきた仕事が脅かされる心理に陥るので、抵抗を示す。
《問題の所在》
●承認欲求を傷つけると、組織は動きが停滞する。
変化を促すときに、えてして、理屈で押し込もうとする人が多い。確かに「理にかなっている」ことは強みであり、ビジネスシーンではそれによって結論を導き出すことができる。
他方、組織とは生命体であり、理屈だけで動けるものではない。組織は個々の集合体であり、個々はそれぞれに価値観と思いを持って組織に属し、仕事をしている。そして、誰もが「認められたい」という承認欲求を抱いている。
であるからして、組織の変化を推進しようとするときには、変化を「受ける」側の承認欲求を傷つけることなく、メリットを「相手にマッチングしながら伝えて」、結果として「みんな楽になったね!」というハッピーな結論を体感してもらう。そのように設計しないと、理屈のピラミッドは、人間の行動心理によって骨抜きにされてしまう(今まで、そういう光景はいくつも見てきた)。
仕事のやり方ひとつ変えるにも、人を変えねばならず、そのためには、自分が変わらねばならない。
自戒の念を込めて。