世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【読了】冨山和彦「AI経営で会社は甦る」

【読了】今年47冊目読了。経営共創基盤代表取締役CEOにしてIoT推進ラボ座長の筆者が、AI時代と今後のビジネスについてを書き記した一冊。
 
〈お薦め対象〉
AIによってどのような世界が生まれるかに興味がある人
〈お薦め度(5段階評価)〉
★★★☆☆
〈実用度(5段階評価)〉
★★★☆☆
 
自分の問いは3つ。
『現在のビジネス環境のポイントは?』には「デジタル革命×ローカル化×シリアスの世界へ。ライブコンテンツは一期一会の感動体験と共有が価値の源泉。同質性と連続性に偏る日本企業は、デジタル革命の破壊性・グローバルの多様性と相性が悪い。グローバル化が進んでも、生身の人間は地域に住み、日常の生活基盤はローカルな経済社会圏」。
『AI時代の特性は?』には「AIとは、現物を制御する、あるいは人間の脳が行っている作業の一部を機会が代替する技術。AI自体は差別化要因にならず、本当の競争領域はハードウェアのアナログなノウハウの部分。オープンで非連続なイノベーションのソフトウェアと、クローズドで連続・蓄積的なイノベーションのハードウェアの統合がカギ」。
『今後のビジネスで意識すべきことは?』には「目前のイベントに目を奪われず、起きていることの産業的・競争上の意味合いを冷徹に洞察する。朝鮮にあたっては、会社の枠を超えてワイガヤ空間を作るべき。一握りの世界選抜以外は、ローカルに居場所を見つけるべき。人間が学ぶべきなのは遊び方」。
 
 言っていることは理解できるし、「デジタル革命の特性は、オープン性、多様性、非連続性、柔軟性、迅速性、果断性」「日本の組織が変わるのは、習慣や既得権益を『もうだめだ』と諦めた時」「人間は自己保身本能があり、自前主義の呪縛は乗り越えにくい」など、納得できる部分も多い。
 でも、総体として読んでみると、「会社は甦る方向には行かず、地域コミュニティや興味コミュニティが優先され、むしろ会社という働き方が危機に瀕するのではないか?」と感じられ、著者の目指す結論には至らない気がする。
 
 正直、全体的な流れと結論には賛同できないが、それに至る分析などは参考になるので「こういう考え方もあるんだ」という感じで読むのであればお薦めできる。