かなり劇場化してしまった本件。実は「SNS時代」の事象であることに、日大側がまったくついていっていないことが劇場化を加速してしまっているのでは?とも感じる。
《ポイント》
●SNSは、「拡散・加速・同調」する。
今回の事件は、SNSの特性が如何なく発揮された。拡散はもちろんSNSの特性なのだが、加えて「加速」と「同調」が凄まじい。特に、同調については、事実は何か?という冷静な視点より「とにかく叩け!」という感情的悪者探しがひどい。なんなら「事実は何か?」と問うだけでも「お前も悪者側か!」とやられそうなくらいだ。
●情報発信・受信は、権力側のみではない。
事実かどうかは一部報道しか見ていないので不明だが、監督は加害選手に「監督を叩きたいだけだ。お前は退場で罰を受けている」と言ったとする情報もある。これが事実であれば「こっちで処理する、お前に被害は行かないようにする」というスタンス。情報発信、受信を権力側が握っている、という認識のもとであろう。
ところが、実際には、加害選手はSNSによって猛烈な個人攻撃を受けることになって、「日大側が行っている状況は全く違う」ということを認知するに至る。これが、加害選手を会見に向かわせたとみる。
《問題の所在》
●最新技術の特性を掴まず、一昔前の処理で問題解決しようとしている。
ことごとく後手に回った感のある日大側。「広報対応は、メインのマスコミを操作すること」という認識しかなく、「個人がメディア化する」というSNS時代の世論の盛り上がりをまったく認知していなかった。おそらく、幹部はSNSを使いこなしていなかった(その特性を認識できていなかった)のではなかろうか。
たぶん、この事件が2000年ころに発生していたなら、映像は拡散しないし、そもそも問題ともなっていなかった可能性が高い。で、あまり考えたくはないが、過去に「同様の事象」はあったのではないか。それを、葬り去ってきた歴史すらあるのではないか。なので、今回も「その路線で行くのが当然だろう」とあぐらをかいていた。
…もちろん、事実はわからない。しかし、「ものごとの認知・対応を最新技術に適合する形でアップデートする」ということをしないと、簡単に撃沈する、ということは間違いない。
故に、「最新のものに触れておく、少なくとも特性は押さえておく」ことは、仕事においても必須である、ということを教えてくれる事件とみる。
自戒の念を込めて。