世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【読了】アダム・グラント「ギブアンドテイク」

今年40冊目読了。ペンシルベニア大学ウォートン校教授にして、組織心理学者の筆者が、与える人こそ成功する時代について書き記した一冊。

〈お薦め対象〉
人生をより良く生きたい全ての人
〈お薦め度(5段階評価)〉
★★★★★
〈実用度(5段階評価)〉
★★★★★

自分の問いは3つ。
『人の行動特性は何か?』には「強いつながりは絆を生み出すが、弱いつながりは橋渡しとして役立つ。人に影響を与えるアプローチは、優位と信望。自分の貢献を過大評価し、他人の貢献を過小評価する」。
『与えることともらうことの心理的影響は?』には「与えることは価値を生み出す。与える人として信頼されると、ちょっと大胆で挑戦的なアイデアを出しても、周りに特別に認められる。人を真の意味で助けるには、自分のものの見方の外に出ねばならない」。
『人生において必要な心構えは何か?』には「人間関係において、想定する時間軸のゆとりを持つ。成功を、他者にプラスの影響を、もたらす個人的なものと考える。自分にとって意義のあること、楽しめることをする」。

普通「与えるより、もらう方が得」と考えるが、実は与える人のほうが成功することは、かなり一般的感覚とは違う。しかし、信用が自らの人生の質を左右する、という時代においては「インターネットで密接に結びついた社会は、人間関係や個人の評判が人目につきやすい」という指摘は至当。

与える人であるために、控えめに話す、人にアドバイスを求めるのをいとわない自分から弱みを見せる、というのは納得の主張。自分のことだけでなく、他者のために生きたほうが自分のためになる。そういや「情けは人のためならず」ということわざもある。それを、科学的に教えてくれる。