世界遺産マイスター/国宝の伝道師Kの「地球に感謝!」

世界遺産検定マイスター、国宝の伝道師保有の読書好き。書籍、世界遺産、国宝という切り口でご案内します。最近は「仕事の心理学」として、様々な事象を心理学的見地から考察しています。

【読了】フレデリック・ラルー「ティール組織」

今年39冊目読了。マッキンゼーで10年以上組織改革プロジェクトに携わった筆者が、マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現を書き記した一冊。

〈お薦め対象〉
組織に関わる、そして組織の次代のあり方を考えるすべての人
〈お薦め度(5段階評価)〉
★★★★★
〈実用度(5段階評価)〉
★★★★★

自分の問いは3つ。
『組織と人類はどう発展してきたか?』には「人類が世界に対する考え方を変える度に、それ以前よりも強靭な組織のタイプが生み出されてきた。インターネットの浸透で、トップダウンの階層ではなく分散した知性の可能性に目が向けられるようになった。新しい段階への移行は、以前に正しかったものを捨て、新しい世界観を試す勇気が求められる」。
『ティール組織の特性は何か?』には「突破口は、自己経営、全体性、存在目的。信頼と責任を育てる構造と慣行の上に成り立つ。誰もが会社を変えていく権限を持っていることに気づき、この会社は自分のものだ、と意識と責任を感じる。すべてが内心の正しさから出発する」。
『ティール組織であるために必要な心構えは?』には「仕事を、仲間同士で助け合い、自分たちの中に埋もれていた偉大さを発見し、自分たちの使命を明らかにする場ととらえる。人生で最も崇高な目標は、孤立を克服し、全体性を取り戻すこと。失敗は存在しない、あるのはただ成長するための誘い」。

組織改革、開発の界隈では大盛り上がりのティール組織。なるほど、読んでみると素晴らしい知見てんこ盛り。「組織はリーダーの発達段階を超えて進化することはない」「自分よりも複雑な世界観をすでに獲得した仲間に囲まれ、安心して自分の心理的葛藤を探求できる環境では、大きく成長できるチャンス」「スタッフ機能を小さくして実現できる規模とスキルによる利益より、モチベーション低下による不利益のほうが大きい」など、身につまされる指摘も数多い。

感覚的には、U理論の組織版といった感じ。実際、記述の中でも何回かU理論に触れているし、やはり、21世紀を切り開くのはこういうマインドなんだろうな、と痛感。そして、それをどう実践するか。これが一番難しいが大事。うーむ…